かんとこうブログ
2020.01.31
ウイルスの大きさ
コロナウイルスによる感染者数が増加し、昨日は武漢から政府チャーター機で帰国した人の中から、症状のない保菌者が二人見つかり話題になりました。発症しない保菌者からの感染の可能性があるということで、一層感染が心配されますが、昨日の朝日新聞に「マスクの効果的なつけ方」という記事が載っていました。今日は、コロナウイルスとその感染防止について、大きさという観点から書いてみたいと思います。
コロナウイルスの大きさは、0.1ミクロン(10の6乗分の1メーター)以下とされています。これは大腸菌などの数十分の一の大きさでとても小さく、それゆえマスクの網の目さえもすり抜けるのではないかとの情報が出回りました。
一方マスクについては、最も感染防止に効果的と言われるマスクN95があります。これは0.3ミクロンの粒子を95%除去できるといわれるものです。これに比べ一般に販売されているマスクは「サージカルマスク」と呼ばれるもので「口からの唾液や飛沫を飛散させないこと」が目的であり、「ウイルスの侵入防止を目的にしていない」ということです。となるとマスクはN95でないと効果がないのはと心配になります。
でもちょっと待ってください。N95は0.3ミクロンの粒子を95%除去できるかもしれませんが、それよりも小さなウイルスは透過してしまうのではないでしょうか?
実際に急性呼吸器感染症の罹患率について、N95とサージカルマスクを比較したデータでは、両者に差異はなかったことが報告されています。このことは、実際の感染においては、ウイルスそのものの感染よりも、ウイルスを含む飛沫からの感染の方がより頻繁に起こっているということになり、サージカルマスクでも正しく装着すれば、十分に感染防止に効果があることを示しています。口から飛散する飛沫の大きさについてネットで調べると5ミクロンという数字がありました。これならサージカルマスクでも十分に透過防止ができるはずです。
ところで、0.1ミクロンというウイルスの大きさは塗料で言えば何の大きさにあたるでしょうか?思い浮かぶのは、まず顔料ですが、一般の塗料中に存在する顔料の粒子径は、サブミクロンオーダーと言われ、0.2-0.3ミクロンに最多分布帯がある場合が多いようです。これだとウイルスよりは大きいですね。ナノ分散という言葉を聞かれたことがあるかもしれませんが、ナノは10の9乗分の一を意味し、粒子径が少なくとも0.1ミクロンよりも細かいものを指します。ウイルスの大きさはナノ分散顔料粒子の大きさと同じ程度ということになるでしょうか。
それでは塗料の製造で使用するフィルターとマスクはどちらが細かいのでしょうか?塗料の製造で使用するフィルターは、例えば珪藻土の場合、濾過対象は1~50ミクロンであり、N95よりは粗いようです。あまり細かすぎると大事な成分である顔料まで除去されてしまうので当然かもしれません。
最後にこのコロナウイルスの感染に関して、塗料ができることがないか考えてみました。せいぜい建築用屋内面に、”院内感染防止塗料”や”しっくい塗料”を塗装してもらうくらいしか思いつきません。コロナウイルス感染による死亡者数については終息化傾向が認められてはいるものの、感染そのものはまだ拡大の様相にあります。外出時のマスク着用、手洗い、うがいを心がけていきたいと思います。