かんとこうブログ
2020.04.12
しつこいようですが・・・最低でも 7 割、極力 8 割といわれる理由
ますます新型コロナウイルスの感染者は増加し、昨日安倍首相より都内の事業者に対し、出勤者の7割以上削減が要請されるに至りました。この7割以上人と人の接触を減らさなければならない理由について、もう一度シミュレーションしてみた結果をご紹介します。
4月6日のブログにSIRモデルのことをご紹介しました。そして、感染者を減らそうと思ったら、一人ひとりが接触する人数を4割以下に減らす必要があると書きました。その後、北海道大学の西浦教授のシミュレーション結果がテレビなどで紹介され、最低でも7割はへらさなければならないということがしきりに主張されるようになってきました。4月6日のシミュレーションでは、初期条件の患者数が200人という条件でしたので、現在とはかなり違っていました。今日は前回に比べもう少し現状に近い条件でやってみた結果をご紹介します。あくまでも素人のシミュレーションですが、感じをつかんでいただければと思います。
シミュレーションのやり方の詳細は省きますが、条件としては、感染者数が5000人の時点から、一人ひとりの接触者の数をそれまでの10人から、7、5、4、3、2、1、0.2人へそれぞれ減らした時の感染者総数と新たな感染者の推移をシミュレーションしています。その結果が下の図です。横軸は最初の時点からの日数です。28日目から接触者の数を減らしています。新たな感染者が減少に転じ、感染者総数が減少し始めるのは、接触者の数を10人から3人に減らした時になります。確かに6割減では感染者数は減らず、最低でも7割減が必要との結論が導かれます。また、感染者減少のスピードを見ると、7割減と8割減では大きく違います。このことも極力8割という理由と思われます。
実はこのシミュレーションで気になることがありました。それは回復(または死亡)までの日数を14日としていたことです。最近の報道をみても、そんなに早く回復しているケースはむしろ稀であるように思えます。そこで、回復までの日数を20日で計算してみました。その結果を下の図に示します。この場合も横軸は最初から日数ですが、今度は24日目から接触者の数を減らしています。新たな感染者が減少に転じ、感染者総数が減少し始めるのは、接触者の数を10人から2人に減らした時になりました。つまり、回復期間が6日延びると接触者を8割減らさなければ、新たな感染者も、感染者総数も減らせないということです。これは単なる一例ですが、こうした少しの条件変動でも影響があることを考えれば、極力8割減が主張されるわけです。
一人ひとりの接触者数を大幅に減らすためには、最低でも7割減、極力8割減が必要、このためには、もはや職場を聖域としてみるわけにはいかないというところまで来ているということが理解されることと思われます。