かんとこうブログ
2020.04.08
緊急事態宣言・・接触者数抑制をどう達成するか
昨日緊急事態宣言が発出され、安倍総理はじめ様々な人が記者会見を開き、これからの1か月の指定された都府県のとるべき行動について指針が出されました。不要不急の外出の自粛の要請、というのはこれまでとかわりませんが、法的な根拠を持っての要請ですので、今まで以上に重みがあり、人々の行動に対しより強く影響を及ぼすことが期待されます。
安倍総理は、感染爆発を防ぐために接触者数を最低でも7割、できれば8割減らすことを訴えていました。この発言の根拠は、一昨日紹介したSIR理論によるシミュレーション計算と思われます。この理論では、その日の患者数の増減は、新たな感染者数から感染からの回復者数を差し引いて計算します。新たな感染者数は、感染係数(一回の接触でどのくらい感染するか)と接触回数で、回復者数は、感染者数と平均回復期間で決まります。回復者数について我々自身でコントロールできることはほとんどありませんが、新たな感染者数については、我々の行動で大きく改善できます。新たな感染者数を回復者数よりも少なくなるように抑え込めれば、感染者数は減少に向かいやがて収束することができます。当面の抑え込みシナリオはこれしかありません。事実中国は、人口に比べてはるかに小さな患者数で収束しています。(中国の統計は信頼できないという説もありますが)
一昨日のブログでご紹介したように、グーグルのデータでは、首都圏において「小売店や娯楽施設(飲食店含む)」への外出は、半分以下に減少したようですが、「職場」への外出(出勤)は、最も減少した東京でも27%減でした。人と人との接触数は、(家族+職場の上司・同僚・関係者+小売店・飲食店・娯楽施設での接触者+その他)という内訳になるのでしょうから、特別な仕事以外のイベントに参加しない限り、ほとんどの人において最も多い接触者は職場の関係者となるはずです。
したがって、各人が接触者数を7~8割減らそうとすれば、在宅勤務者が一挙に増えない限り、職場での感染防止対策がより徹底して行われなければ達成できません。手洗いやマスクの着用だけでは不十分であり、Social Distance(社会的距離)の確保、シフト制、(簡易)防護壁、会議室等空室の利用、社食の休止、などあらゆる手立てをとる必要があります。昨日の会見において、総理や知事はこの点をもう少し詳しくお願いすべきだったと思います。
今回の緊急事態宣言とそれに伴う都道府県の緊急事態措置は、欧米メディアから欧米の都市封鎖と比較し「あまりに遅く、あまりに強制力がない」と言われています。事実文面ではそうです。が、しかし、日本社会の特性を考慮すれば、「職場」以外への外出は欧米並みになるのではないかと予想しています。問題は「職場」でどう接触者数を減らすかにあるということだと思います。今こそ、知恵の出しどころではないでしょうか?