かんとこうブログ
2020.08.27
人体に安全な低濃度オゾンガスで新型コロナウイルスを不活性化
昨日、藤田医科大学(愛知県豊明市)の村田貴之教授(ウイルス・寄生虫学)らの研究グループが、低濃度(0.05または0.1ppm)のオゾンガスでも新型コロナウイルスに対して除染効果があるということ確認したとの報道がありました。これより、医療施設や公共交通機関など人が集まる場所でも常時、人体に許容される濃度のオゾンを発生させ新型コロナウイルス感染を防護することが可能となるとのことでした。以下藤田医科大学のホームページより、実験内容の概要をご紹介します。
《実験の意義》オゾンガスは多くの病原体を不活化する効果があることが知られており、新型コロナウイルスにも効果があることがすでに報告されています。しかし、既報の実験は、1.0〜6.0ppmという高濃度のオゾンガスを使用しており、人体への毒性が懸念されていました。今回の実験では、人体に許容される低濃度(0.05と0.1ppmで実験)でもオゾンガスが新型コロナウイルスに対して除染効果があるということを明らかとなり、感染拡大の抑制・予防に向けての基礎的なエビデンスになると考えられます。
《実験の概要》新型コロナウイルスのウイルス液をステンレスの担体に付着、乾燥させ、あらかじめ定めた時間までウイルスが付着した担体を0.05または0.1ppmの濃度のオゾンガス処理します。処理が終了したら、ステンレスに付着したウイルスを培養液で縣濁、回収します。さらに回収したウイルス懸濁液を適宜希釈してVeroE6/TMPRSS2細胞に感染させ、tissue culture infectious dose 50(TCID50)という指標を算出します。TCID50は感染性ウイルス量の指標です。
《実験結果》
上のグラフは、湿度80%・55%の環境におけるそれぞれのTCID50の平均値を示したものです。湿度80%では、日本の作業環境基準であるオゾンガス濃度0.1ppmの処理でもCT60(10時間後)で4.6%までウイルスの感染性が低減しました。より安全性の厳しいアメリカ食品医薬品局の基準であるオゾンガス濃度0.05ppm処理でも5.7%までウイルスの感染性が減少しました。湿度が55%では、オゾンガスによる除染効果が減弱しましたが、オゾンガス濃度0.1ppm処理では、CT24(4時間後)で53%まで感染性が半減しています。
※日本産業衛生学会は、作業環境基準としてのオゾン許容濃度を0.1ppm(労働者が1日8時間、週40時間浴びた場合の平均曝露濃度)と勧告しています。
《考察》
人体に無害とされる濃度のオゾンガスであっても、新型コロナウイルスの感染性を抑制する効果があることが、実験によって証明されました。特に湿度の高い条件では効果が高いことも明らかになりました。本研究は、特に湿度の高い部屋において、人がいる環境であっても継続的に低濃度オゾンガスを処理することで、新型コロナウイルスの伝播を低減できる可能性があることを示唆する世界初の基礎研究となりました。
本内容は以下のサイトから引用しました。