かんとこうブログ
2020.11.25
感染拡大地域はどこ?
ようやく政府が重い腰を上げてGo Toトラベルキャンペーンの一部見直しを決め、これをうけて大阪、北海道の札幌市を目的地とする旅行を対象外とすることが決まりました。見直しの条件として「感染拡大地域への旅行」ということがあげられていました。今の時点での感染拡大地域はどこが該当するのかについて調べたことを書きます。ただしあくまで素人の視点で見た、という条件付きですが。
最初の都道府県別の累積感染者数です。感染拡大ということと累積数は直接に関係しないと思いますが、ここではむしろ感染者の割合を感じてもらいたいと思っています。データはいつものように札幌医科大学のサイトから引用しています。
【都道府県別】人口あたりの新型コロナウイルス感染者数の推移 (sapmed.ac.jp)
人口100万人あたりの累積感染者数の最多は実は沖縄県です。沖縄県は9月以降感染者が増大し、東京を抜いてトップになりました。現在でも僅差で東京を抑えてトップにいます。次いで大阪、北海道となるのですが、実は全国平均を上回っているのは赤枠で囲った7県のうち兵庫県を除く6都道府県と福岡県の計7都道府県しかありません。福岡県でなく兵庫県を赤枠で囲ったのは、過去30日間でみると福岡県ではなく兵庫県が全国平均を上回っていたからです。赤枠の都道府県の累積感染者のデータは下の左のグラフに別掲しています。
累積感染者の割合を何人に一人という形で表すと、全国平均で952人にひとり、沖縄県で362人にひとり、東京都で366人に一人となります。360人と言えば、さして大きくない小学校や中学校の人数、あるいは少し大きい会社の人数かもしれません。
上の右のグラフは過去30日間で感染者の多かった7都道府県について、人口100万人あたりの過去30日間、過去14日間、過去7日間の感染者数をグラフ化したものです。いずれの期間をとっても感染者の数では北海道がトップで二番目が大阪ですが、三番目は過去30日間が沖縄、過去7日間と14日間が東京と分かれます。これは沖縄の感染拡大が小休止したためと推定しています。この3本の線の間隔を見てもらうとX軸と7日間が最も間隔が大きく、ついで過去7日と14日という順になっており、最近になるほど感染者増加のスピードが上がっていることを示しています。
Go Toキャンペーン見直しの地域として、大阪府と北海道札幌市が決まったのは上のデータからみて妥当だと思いました。しかし同時に沖縄はどうなのかと心配になりました。また北海道の感染拡大の理由として専ら気候的なことがあげられていることにも疑問を感じざるを得ませんでした。
これが過去7日間の人口100万人あたりの感染者数の都道府県別データです。寒い北日本でも北海道のみが感染者が多く、青森県や秋田県の感染者数は全国でも最少レベルです。また沖縄の感染者数が依然として多いことも踏まえて、気候的な要因が第一義的であるとはどうしても思えません。
この二つの表は以前にもご紹介したデータです。左が都道府県の人口と人口密度の上位13都道府県、右が年間の都道府県別宿泊者数です。感染者数は人口と人口密度の両方が多い都道府県に多いとご紹介しました。そして人口と人口密度は多くの場合相関関係にあるともご紹介しました。また年間宿泊者数では、注目すべきは東京、大阪についで、北海道、沖縄が3位、4位であることをご紹介しました。
以上を踏まえると、過去30日間の人口100万人あたりの感染者数からみると、今回大阪と北海道が除外指定されたことは妥当と思われます。また次に感染拡大地域としてGo To
トラベルキャンペーンで除外指定されるべきは沖縄や東京であり、その理由は、特に沖縄の場合には感染拡大の要因として旅行者の存在が排除できないことにあると考えます。Go Toキャンペーンの除外指定は人々の行動変容にも大きな影響を及ぼすだけに、タイムリーな判断に基づき行われてほしいと願います。