かんとこうブログ
2020.11.02
経済産業省の製造工業生産予測調査(10・11 月分)
今日は経済産業省の製造工業生産予測調査結果をご紹介します。この調査結果については7月と9月にご紹介しています。これは、企業の今後2か月の生産計画を集計しているもので、10月30日に発表された結果には、10月分、11月分の予測が掲載されています。報告書詳細は以下のURLからご覧になれます。
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/archive/kako/20201030_2.html
(左の表に対する説明)10月の生産計画については、調査結果そのままを集計すると、前月比4.5%の上昇という結果になります。ただ、この数字はかなり過剰な見積りとなっており、過去の傾向に基づき補正すると、最頻値としては前月比でプラス1.4%程度という計算となります。
(右の図に対する説明)ここでの指数値は2015年を100として季節調整したものです。仮に企業の生産計画通りの前月比で生産が行われると、10月の鉱工業生産の指数値は95.7、11月の指数値は96.8となりますが、先ほど述べたように、これらの数字は過剰な見積りであると想定されるため補正した数字を使う方がよいと思われます。補正した数字+1.4%を用いると、10月の指数値は92.9となります。この92.9という数値では、3月の95.9には及ばず、11月までみたとしても、その生産水準に到達するかどうかというところです。生産は当面、持ち直しが続くことが期待されますが、感染症の拡大以前の生産水準(本年1月で99.8)への回復にはまだ時間を要しそうです。
5月まで大幅低下が続いていた鉱工業生産は、6月以降は一転、上昇を続けており、企業の生産計画からは、11月も上昇が続くことが期待されます。ただ、11月は上昇するとしてもこれまで同様上昇幅は小幅になると考えられ、生産は、今後も当面低い水準が続くと考えられます。また、今後の感染症の影響についても引き続き注意して見ていく必要があります。次に各業種別の生産計画について見ていきます。
上の表は、10,11月それぞれの月において、上昇に寄与する業種、下降に寄与する業種とその対前月比の数値をまとめています。10月では、生産用機械工業が最も大きな増加を見込んでいます。ただし、両月とも増加を見込んでいるのは、今の生産用機械に加えて汎用・業務用機械工業、鉄鋼・非鉄金属、パルプ・紙・紙加工品工業、その他だけであり、回復への道程はあくまでゆるやかなようです。
これら10月11月の生産計画を通してみた場合の各産業の予測指数は以下のようになります。
(上の図に対する経済産業省の説明)10月、11月の2か月の生産計画による業種ごとの生産予測の伸び率を通してみると、上のグラフのようになります。これまで生産の上昇をけん引してきた輸送機械工業については、11月には低下に転じ、上昇傾向にも一服感が感じられます。他方、鉱工業指数では生産の回復が遅れていた生産用機械工業が、9月に続き10月、11月も大幅な上昇が続く計画となっており、この上昇がどれほど実現するかが、鉱工業生産の先行きを考える上でも注目されます。
輸送用機械:自動車を指す