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かんとこうブログ

2021.03.26

春分の日に赤道上で何が起きるのか?

先週の土曜日は春分でした。日本では特に目立ったことは起きないのですが、赤道が通っている国では普段とは違うことが起きます。それは何でしょうか?・・・正解は直立したものの影がなくなることです。世界中の国の中で国土を赤道が通っているくには10か国しかありません。アフリカのガボン、コンゴ、コンゴ民主共和国、ウガンダ、ケニア、ソマリアの6か国、南米のエクアドル、コロンビア、ブラジルの3か国、そしてアジアのインドネシアです。インドネシアでは、スマトラ、カリマンタン(ボルネオ)、スラウエシの大きな3島を通っているのですが、ほとんどは人があまり住んでいない場所であり、唯一カリマンタン島だけが付近にポンティアナ(Potianak)という比較的大きな都市があり、世界中で赤道に最も近い都市という看板がありました。真偽のほどはわかりませんが、確かにそのポンティアナからは赤道記念館まで車ならば15分ほどでいくことができます。

ポンティアナの赤道記念館(Wikipediaより)

この塔の上の車輪のようなものが赤道の位置と方向を表しており、記念館の床には赤道の位置に線が引いてあります。両足を広げてこの線をまたぐと、左足が北半球、右足が南半球という写真がとれます。私はたまたま仕事でこの街にきたことがあり、ここを訪れました。残念ながらその時の写真が行方不明でお見せできないのですが、その時の説明で妙に頭に残っていたことがあり、それがこのブログを書こうと思った理由なのです。  

その説明とは、以下の内容でした。「ここでは1年に2回、春分の日と秋分の日およびその前後1日ずつの計6日間、午前12時を挟んだ前後5分ずつ計10分間、地面に立った人間の影が一切消え去るのです。」

なるほど、太陽がまさに頭の真上に来るのですからそうなるであろうとその時は納得しましたが、あとから考えると果たして午前12時を挟んだ前後5分ずつというのが正しいのかという気がしてきました。つまり少なくとも日本では南中時刻はいつも午前12時ではないからです。気になったので調べてみましたが、結局ポンティアナの南中時刻を見つけることができなくあきらめることにしました。というよりもっと興味深いことを見つけたのです。

それは、「春分の日の、昼の長さと夜の長さは同じではない」ということです。」これは意外に知られているようですが、私は知りませんでした。テレビのニュースではいつも「今日は春分の日です。昼の長さと夜の長さが同じくなる日です。」と説明するのでそう信じこんでいたのですが、正確には、「昼の長さと夜の長さが同じになるはずであるが、実際には少しだけ昼が長い日」なのです。

実際に確認してみましょう。今年の320日の東京の日の出は54441秒、日の入りは175243秒です。差し引くと昼の長さは12時間758秒となります。東京は標準時の基点である明石から離れているからではないかと考えた方のために明石の日の出、日の入りを示します。日の出が6330秒、日の入りが181127秒であり差異引くと12時間757秒となり、やはり昼の方が長いのです。これは世界中でこうなります。(日の出、日の入り時間は下記より引用)

https://sunrise.maplogs.com/ja/japan.492.html
その理由は主に二つあります。一つ目は春分の日と日の出日の入りの定義に由来します。天文学的な春分 (秋分)の定義は、視太陽が天の赤道をよぎる瞬間と規定されています。簡単に言えば、地球の赤道の真上を通る日と決められいるのです。一方日の出と日の入りは、太陽の上辺が地平線と一致する瞬間」として定義されています。もしも「太陽の『中心』が地平線と一致する瞬間」と定義されていれば、日の出から日の入まで太陽が移動する道のりと、日の入から日の出まで太陽が移動する道のりは、全く同じになります。しかし現在の定義で昼の長さを考えると、日の出から中心が東の地平線に達するまでと、中心が西の地平線に達してから日の入まで、太陽はより長い道のりを移動しなければなりません。そのために昼の時間が長くなるのです。

二つ目の理由は、「地球には大気があるために、地平線近くにある天体は、大気の中を通る光の屈折によって、少し浮き上がって見えるのです。どの程度浮き上がるのかは大気の状態によっても違いますし、地平線に近いほど浮き上がりの大きさは大きいのですが、日の出・入の計算をするときには358秒角(時間ではなく角度の単位)浮き上がるとして計算をしています。この効果によって、昼の時間はさらに長くなります。」(斜体部分は国立天文台のサイト(下記)から引用)
https://www.nao.ac.jp/faq/a0303.html
では一体いつが昼の長さと夜の長さが同じなのかというと316日になります。4日ほど春分の日より早い日でした。

話をもとにもどして、果たしてポンティアナの春分の日の南中時刻は午前12時なのかですが、実は赤道に近い場所では日の出日の入りは年間を通じてほとんど変わりません。ジャカルタでは午前6時に上り午後6時に沈むという感じでした。変動してもおそらく前後10分程度でしょう。であれば、おそらく南中時刻も大体12時ころいってもそう問題にはならないかしれませn。インドネシアでは日本のように時間に対して厳格ではありません。ゴムの時間と言われて弾力的に運用されています。そうした国民性を考えれば、説明の中での南中時刻の5分や10分問題ではないような気がしてきました。

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