かんとこうブログ
2021.04.27
紫外線が強くなる季節にむけて
これから6月にむけて紫外線が最も強くなる季節とよく天気予報などで言われています。確かに南中高度が最も高くなるのは夏至の日なので、紫外線照射量が多くなるのだと理解できます。実際にデータはどうなのか調べて確認してみましたが、少し予想とは違った結果でした。これから紫外線量に関するデータをいろいろとご紹介しますが、すべて気象庁の下記サイトからの引用です。
http://www.data.jma.go.jp/gmd/env/uvhp/info_uv.html
最初は、日最大UVインデックスの年間推移について、観測を行っている那覇、つくば、札幌の2017年のデータからご紹介します。この形式で那覇と札幌のデータが提供されているのはこの2017年が最後ですので、3点比較できる最新という意味でこの年のデータを使用しました。UVインデックスとは、紫外線を波長ごとに積分して求められる紫外線量を25mW/m2で割って指標化したもので、時間単位での計測データのうち最大の数値をプロットしたのが上図です。当たり前ですが緯度の低い順に紫外線量が多くなっています。同じ月の中でバラツキがあるのは、天候によってというか、雲の量によってというか、天気次第で紫外線量は大きく変化するからです。ところで、知りたかった紫外線量のピークは夏至に一致するのかという点ですが、グラフをみると紫外線量のピークはほぼほぼ夏至なのですが、少し7月よりにずれているかという気がします。他にもデータがあったので別な角度から調べてみました。これはつくばにおける2020年の毎日の日最大UVインデックスの年間変化を表したものです。一度に表示される図は1月分なので、12枚のグラフを貼り合わせています。なんとこの図からは、最も紫外線量が多いのは8月であるように見えます。8月は晴天の日が多いのはもちろんですが、各日の最大値も10前後で10を超える日もあり、6月、7月の最大値と遜色ありません。那覇についても同じやり方で調べてみました。上図は那覇の2020年のUVインデックスの年間推移ですが、つくばほどではないにしても、やはり7月が最も紫外線量が多いように見えます。この2020年という年が異常だったのか知れないと思い他の年も調べてみました。
幸いにも2005年以降の各月の平均UVインデックスのデータがありましたので、つくばについてグラフにしてみました。
月の平均値という観点でみれば、やはり最もUVインデックス値が高いのは7月か8月になります。従って6月が最も紫外線が多いという言い方は間違いになります。言うとすれば(同じ天候条件であれば)紫外線が強い、というあたりではないでしょうか?さて年度別の推移という観点ではどうでしょうか?冬季はまずほぼ変動なしと言ってよいと思いますが、問題は夏です。7月8月は年ごとに変動が大きいように見えます。そこでさらに細かくみるために5年毎の夏季における各日のUVインデックスを調べてみました。このグラフから、年々7月8月のUVインデックスが大きくなっているという傾向はみてとれません。ただし、それぞれの日において、天候の影響は非常に大きいことはわかります。上でご紹介した2020年の8月の数値が大きく見えたのは、ほぼ毎日好天であったことが大きな要因であると思われます。もう一つグラフを作りました。つくばについての5年毎の各日のUVインデックス推移(横軸の数字は月)です。いずれの年も7月あたりをピークとした曲線を描いていますが、白丸で囲った夏季にはその曲線から上方向に外れる点が散見されます。この理由はわかりませんが、気にはなるデータです。
以上まとめると、①地上に到達する紫外線量は、月単位としては6月よりも7月または8月の方が多い。②一日の最大UVインデックスでみても7月8月は6月と遜色ない。③月単位の紫外線量については、その月の天候に大きく左右される ということになるでしょうか? CO2による地球温暖化は直接には紫外線量には影響しないと考えられますが、天候への影響を通じて、間接的には紫外線量にも影響を及ぼすことは十分に考えられます。