かんとこうブログ
2021.05.07
PCR検査で重要なCT値って何?
PCR検査は、Polymerase Chain Reactionの略であり、ウイルスの特定箇所を酵素を使って増殖させることでウイルスを検出する方法ですが、ウイルスを検出できるようになるまでの増殖回数をCT値といい、もともとの検体のウイルスの濃度、すなわち検体を提供した被験者の中のウイルス量を示しています。他の人にうつすかどうかという点では、このウイルス量(CT値)が大変重要であり、特にウイルス量の多い人はいわゆるスーパースプレッダーになるので、特別な管理が必要であると、先日BSのテレビ番組で、東京大学の児玉教授が説明していました。今日はこのCT値についてご紹介します。
といいながら実はネットで検索してもあまり有効な情報はなく、唯一と言ってもよかったのがこれからご紹介する内容です。「精密医療電脳書」というお医者様のサイトからの引用です。
最初にご紹介するのは、発症後の経過日数(横軸)とCT値(縦軸)の関係です。CT値は増幅した回数を示し、CT値20とは2の20乗、すなわち約100万倍に増殖させて検出できたということです。CT値25は約3200万倍、CT値30は約10億倍、CT値35は約320億倍、CT値40は約1兆倍に増殖して初めて検出できたことを示しており、CT値が低いほどもともとのウイルス濃度が高いことを示しています。
さて、発症後の経過日数とCT値の関係ですが、基本的に変化はなく、次第に減少傾向にあります。つまりあまり大きな変化がなく、次第にウイルス濃度は増えていき、2週間後から減少に転じるということのようです。重要なのはこの次です。
上の図では、横軸がCT値、縦軸が、感染力の代用特性としての培養における細胞の増殖割合を示しており、一目瞭然で、CT値が小さいほど増殖する割合が高い(感染力が強い)ことをしめしています。
先日のテレビ番組では、東大の児玉教授は、CT値ごとのウイルス量からみた感染に必要な唾液の量として、CT値40では500CC、CT値35では15CC、CT値30では0.5CC、CT値25では15μリットル、CT値20では0.5μリットルと説明していました。実際の飛沫感染を考えるとCT値30以上ではなかなか感染しないのではないかと思われます。
さらに児玉教授は、CT値20のレベルがスーパースプレッダーであり、特別な管理(隔離と防護)が必要であるとも述べています。さらに、PCR検査を実施した際には必ずCT値も記録されているので、単なる陽性、陰性の区分だけでなく、CT値による感染者の対処を行うことの必要性や、陽性の場合には2回目のPCRを行い変異種かどうかの確認を行うことの重要性を述べていました。
児玉教授については昨年の8月頃に国会に招かれて見解を披歴されていたと思いますが、あまり表舞台に立つ機会がすくないようです。きわめて有用で重要な知見だと思いますので、国の政策に反映されることを期待します。