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かんとこうブログ

2021.05.07

”緊急事態宣言中に人流は減った”を検証してみた!

緊急事態宣言が月末まで延長されるようですが、一昨日のインタビューで菅首相は「人流は確かに減った」と答えていました。私の印象ではとても減ったようには見えませんでしたので、検証してみることにしました。「減った」か「減らなかった」かは、何を基準にするのかで大きく変わります。少なくとも、緊急事態宣言の効果に関するインタビューの中で「減った」というからには、「感染者が減少する程度にまで減った」でなければ、意味がありませんので、検証するにあたり、「感染者が減少する程度の人流」を基準にしたいと思いました。「感染者が減少する程度の人流」と言われて思い浮かぶのは過去2回の緊急事態宣言の時の人流で、幸いにして過去2回とも緊急事態宣言発出後感染者は減少に転じました。それ以外に明確に減少に転じた人流というものを思いつきませんので、基準を過去2回の緊急事態宣言にとって比較することにしました。

データはいつものアグープの56日版です。202011日から202155日までの13県の各地の人出の平均値のグラフからご覧ください。

長い期間のグラフなので、今回の緊急事態宣言の期間は、各グラフの右端の一部分にしかすぎませんが、それでもよく見ていただくと右端にオレンジ色の部分が存在しているのがわかると思います。これが今回のゴールデンウイークです。グレーが平日、オレンジが休日を表しています。これらのグラフにおいて、3点チェックしました。1点目は、今回のゴールデンウイークの人出が昨年5月のゴールデンウイークの人出と比べて減少しているのか?2点目は、同じく今回のゴールデンウイークの人出が今年1月の正月~3連休の人出と比べて減少しているか?、3点目は今回のゴールデンウイーク前の平日の人出が、今年1月の平日の人出に比べて減少しているか?この結果はあとでまとめてご紹介しますが、上のグラフをざっと眺めて気が付くのは、グレーとオレンジの高さが拮抗している場所(川口、浦和、浦安、松戸)では、この1年半弱を通じてあまり人出が変化していないということです。

上の図はすべて神奈川県ですが、オレンジ色の方が多い、すなわち休日の人出が平日を上回る地点が多くあります。こうした地点でも人出はあまり変化がありません。緊急事態宣言中の減少も大したことはないようです。これらに比べれば、横浜駅、桜木町や関内駅ではグレーの方が多く、緊急事態宣言前後の増減もメリハリが効いています。

上の図はすべて東京都ですが、一部を除き非常にメリハリの効いた増減になっています。東京の場合には、グレーが多い地点が圧倒的に多いこともあるのですが、渋谷センター街や歌舞伎町、などでも全体の形は変わりません。また、左端の部分は感染が始まる前の人出ですが、この部分が高く見えるということは、それ以外の期間の人出が全般に抑制されていることもわかります。繁華街も含め都心では全般に感染が始まって以来人出が抑制されていると言えるでしょう。

さて本題の人出が減ったかどうかですが、以下に各地点における3つのチェック結果を示します。

結果は色分けしておきましたので一目瞭然かと思います。まず第1回目の緊急事態宣言との休日どうしの比較ではほとんどの地点で増加~大幅増加になっています。次に第2回目の緊急事態宣言との休日どうしの比較では、おなじ~増加という結果が大半を占めました。最後の第2回目の緊急事態宣言との平日どうしの比較でも、ほぼ同じと増加が半ばする結果でした。以上から結論としては、今回の緊急事態宣言中の人流は、過去の緊急事態宣言と比べて人流は減ったとは言えないということになります。これでは、感染者がなかなか減少しないのも無理はないと思われます。

地点別にみると、都心部は比較的人流の抑制が効いています。最も抑制が効いていないのは観光地であるように思えます。

「人流が減った」と主張するのであれば、根拠とデータを示したうえで主張すべきあり、延期するにしても人流と感染者数についてきちんと総括をした上で、対策と期間を示すべきです。また、変異種の感染力が強大であるとわかった今も飲食中の飛沫感染だけ注意すればよいのかどうかについても考慮すべきであると思います。

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