かんとこうブログ
2021.06.16
内閣府の3統計数値を並べてみると
内閣府関係の統計では、これまで、消費動向調査、景気ウオッチャー調査、法人企業景気予測調査をご紹介してきました。今日はこれら3つの調査結果を一覧していただくことにしました。消費動向調査と景気ウオッチャー調査は5月の調査結果ですが、法人企業景気予測調査は4-6月の結果と7-9月、10-12月の予測です。それでは消費動向調査と景気ウオッチャー調査の結果からみていただきましょう。消費動向調査はすべてが集約された消費態度指数のDI値を、景気ウオッチャー調査は、景気の現状判断のDIについて比較しています。
今回発表された結果を示す部分は、いずれも右端の赤線の丸で囲んだ部分ですが、いずれも残念ながら4月5月と2カ月連続でマイナスでした。もう少し範囲を広げてコロナ禍の始まりから見てみますと、緊急事態宣言が発出されると数値が下がり、その後ジワジワと上昇するという動きを繰り返していることがわかります。改めて景気の動向は感染次第ということが認識されます。
この二つの調査、動向は極めてよく一致しているのですが、ベースラインとなる中央値が大きく違います。消費動向調査が40(赤横線)付近であるのに対し、景気ウオッチャー調査が50(赤横線)付近に位置しています。これは回答者の立場の違いによるものと理解されており、消費動向調査は無作為に抽出された全国8000世帯を調査対象としているのに対し、景気ウオッチャーは全国2050人のさまざまな仕事に従事する人を対象にしています。極論すれば、買う立場と売る立場、供給する立場と消費する立場の違いとも言えます。いずれにしてもこの二つの調査結果は、5月段階での景気は後退傾向であるということで一致しています。
これに対し、法人企業景気予測調査は淡々とグラフをお見せすると随分異なって見えます。
この調査は消費動向や景気ウオッチャーと集計方法が異なり、良いと答えて企業数から悪いと答えた企業数を差し引いた値を指標としていますので、消費動向や景気ウオッチャーの50に相当する中央値はゼロになります。
冒頭にも書きましたが、このこの調査の対象期間は、4-6月の景気の現状と7-9月、10-12月の予測を聞いています。したがって、グラフにプロットされた点のうち右端は10‐12月と右端から2番目は7-9月というように、これからの予測になります。右端から3番目の点が、4-6月の判断を表しており、大企業、中小企業ともマイナス側にあるものの、1-3月の落ち込みからは回復しています。この法人調査は、14400社という非常に大きな母集団をもっていますので、調査の精度は高いものと思われますが、この調査結果を見ると、製造業、非製造業を問わず、今後景気は回復していくと考えている企業が多いということになります。この背景にあるのはやはりワクチンの接種が進み、感染は収束していくであろうという期待であると思われます。
次に国内の景気判断ではなく、自社の景気判断のグラフをお見せします。
自社の景気判断も、上の国内の景気判断と比べてほとんど同じです。しいて言えば、大企業、中小企業とも、国内の景気判断よりも少し全体的に低い数値であるということでしょうか?自社についても今後は回復していくであろうと予測する会社が多いというのは同じです。
毎回同じことを書きますが、それにしても企業規模によって、景気判断が大きく異なり、常に大企業の方が景気がよい側に振れているという事実には考えさせられます。それはともかく、今日はご紹介できませんが、この法人企業景気予測調査では、業種別の数値が掲載されており、塗料と比較的関係の深い業種の景気判断の数値のグラフ化も可能です。今週から来週にかけてサーバの更新のため、ホームページの更新ができませんので、今調査結果のご紹介は見送るかもしれませんが、またどこかの機会にご紹介したいと思います。
この3つの調査結果を並べていることは、①いずれの立場からも、景気の判断には感染症の状況が大きく関わっている。②消費者側、提供者側とも5月は、4月に続き景気後退傾向と判断している。③法人企業では、企業の規模を問わず、これから年末にかけて景気が回復していくと予想する企業が多い ということになろうかと思います。これらの結論はいずれも肌感覚的には納得できるように思います。
これらの図表はすべて下記のサイトから引用し加工しています。
https://www.mof.go.jp/pri/reference/bos/results/1c202101.pdf 法人企業景気予測調査