かんとこうブログ
2021.07.08
東京都の4度目の緊急事態宣言!その効果は?
昨晩、政府は東京都に対しオリンピック中をまるまる含む6週間の緊急事態宣言発出の方針を固めたようです。これで昨年来4度目、今年に入ってからだけでも3度目の緊急事態宣言となりますが、果たして効果は期待できるのでしょうか?過去の緊急事態宣言前後の人流の推移などから推測することにします。
まずは現在までの東京都の新規感染者数と重症者数の推移です。
現在が感染拡大モードになっていることはご承知の通りですが、もう少し詳しくこの1か月について、それぞれの7日間の移動平均値でグラフ化してみます。
いつものように近似式を求めると最もR2乗値が高いのは、新規感染者数と重症者数とも多項式(二次式)近似でした。またこの近似式からは、それぞれが増加に転じた日が特定でき、新規感染者数は6月16日頃、重症者は6月27日頃となります。さらにこの近似式から今から2週間後、4週間後を予測させると、新規感染者数が今から2週間後には1021名、4週間後には1669名と計算されます。また重症者数は今から2週間後には95名、4週間後には174名となります。これまでの東京都の最多重症者数は1月20日の160名ですから、4週間後にはそれを超え病床の逼迫が到来するという計算になります。
おそらくこうしたことを踏まえ、政府は東京都に対し緊急事態宣言の適用を決めたものと思われますが、では、過去の緊急事態宣言の効果はどうだったのでしょうか?
1月7日からの第2次緊急事態宣言、4月25日からの第3次緊急事態宣言の両方のケースで、発出後に新規感染者が減少しています。これは間違いのない事実です。問題は、なぜ緊急事態宣言が発出されると新規感染者が減少するのかということの科学的な解析ができていないことにあります。緊急事態宣言の発出とともに、それまで時間制限であったアルコール提供の禁止やら、デパートの日用品以外の閉店など様々な対策が講じられるために、確かに新規感染者は減少するが、それぞれの対策がどのように効果をあげたのかの解析が全くできていません。おそらく分科会などでもデータがいろいろと提供されてはいるのでしょうが、残念ながらそうしたデータの国民への提供はないようです。
しかし、人流に関しては、アグープをはじめ各携帯電話会社からデータが提供されています。それらの数値用いてこれまでの緊急事態宣言に伴い人流の変化をご紹介します。まずは休日の昼間(15時台)のデータで、7月5日に掲載知たデータです。(感染拡大前に対する%:東京都18カ所の平均、3県12カ所の平均)
第2次緊急事態宣言が始まった1月7日、第3次緊急事態宣言が始まった4月25日には、急激に人出が落ち込んでいます。ただしそれは長続きせず、ジワジワと上昇を続け2カ月以内には完全にもとに戻っているように見えます。しかし、宣言発出直後は間違いなく人流が明確に減っています。
では夜の街はどうでしょう。これもアグープのデータから東京の6カ所についての夜8時台の人流データです。
この図では、休日がオレンジ、平日がブルーグレーで表されています。横軸は期間を表し、左端が昨年12月1日、右端が7月31日です。赤の矢印は左側が第2次宣言適用開始、右側が第3次宣言適用開始を表しています。明らかに宣言発出により、短期間とは言え人流が抑制されています。マンボウではこうした効果は見られません。やはり緊急事態宣言が、国民の心理に働きかける力は特別なものがあると思われます。
従って今回もこれまでと同じような効果が期待できるとは思いますが、一方で緊急事態宣言慣れや飲食店関係者の不満も大きくなっています。宣言適用にあたっては、宣言を発出することを決めた経緯と対策の効果に対する根拠を示して国民に協力を要請してほしいと思います。やぎさん答弁や来賓挨拶はいりません。