かんとこうブログ
2021.08.06
世界の TOP3 の第2四半期決算に見る市場状況
海外の会社は決算期が1-12月の会社が多く、すでに2021年度は第2四半期を終えて決算が発表されています。日本では日本ペイントホールディングスが1-12月決算であり、本日第2四半期の決算を発表するようなので、第四半期の状況については、別途世界のTOP3+1という形で来週にでもご紹介しようと思います。今日ご紹介するのは、TOP3各社の決算発表資料に含まれている市場状況の資料です。日本の市況とは直接関係がないかもしれませんが、世界の市況は原料動向にも関係がありますので、なにがしかの参考になればと思います
それではSherwin Williamsの決算資料にあった世界の需要動向についてのグラフからご紹介しましょう。データソースはKNG Researchとなっています。左がTOP10の市場占有率、右が需要別シェアです。ポイントは世界の総需要についての記述で、数量で101億ガロン、(約4600万トン(比重≒1.2))、金額で1370億US$(約15兆円(1US$=110円))となります。この数値の方がOrr &Bossの数字に比べて現実味のある数字だと思います。両方のグラフが2020年となっていますが、これは2020年の実態を表したものか、2020年にまとめたという意味なのか不明ですが、とにかく新しい統計のようです。
左図のトップ10の顔ぶれと市場占有率は、一昨日ご紹介したCoatings Worldのものと大筋で変わりません。ここではTOP10合計で全体の約半分のシェアを占めていることを示しています。Coatings World ランキングではこの10社の売上金額合計が677億US$でした。これが全体の50%とすると世界全体が134億US$となり、このKNG Resaerchの数字とおおよそ一致します。世界の塗料製造業は依然として寡占状態にあり、まだしばらくはさらにM&Aが続くものと予測しています。
同じような需要分野別のグラフはAKZO-NOBELにもありました。2018年の世界の需要分野別グラフですが、これは上のSherwin Williamsのグラフと大筋で一致していると思います。工業用の内訳がさらに詳しく分類されています。
次に第2四半期の世界の市況についてご紹介します。https://s25.q4cdn.com/953898558/files/doc_financials/2021/q2/2Q-2021-PPG-Earnings-Slides-(1).pdf
この図はPPGが自身の第2四半期の売上高についてまとめたものです。色が前年比を表しており、欄内の文言は市場におけるPPGのポジションの動向を示しています。従って市況については色をみてもらえればよいのですが、前年がコロナ禍で大幅下落をした時期でしたのでの、ほぼすべての分野で前年を上回っています。前年を下回ったのは、北米の建築、船舶、EMEAの船舶、アジア太平洋の航空機とオーストラリアの建築でした。
同じような図をAKZO-NOBELも掲載しています。https://www.akzonobel.com/content/dam/akzonobel-corporate/global/en/investor-relations-images/result-center/reports---presentation/2021-reports---presentations/q2-2021/Investor%20Update%20Q2%202021.pdf
これも前年比なので全般に好況であることを示しています。特に工業と粉体は全世界的に好況でした。防食と船舶は需要が弱く、この船舶・防食の需要の弱さは世界的に共通しているようです。
TOP3の一角Sherwin Williamsは世界の各分野ではなく、北米の建築塗料市場に関しての資料が掲載されていました。Valsperと一緒になったとはいえ、主体は圧倒的にアメリカの建築塗料ですので無理もないかと思います。左がアメリカの建築塗料の売上数量の推移を示しており、リーマンショック前後で大きく落ち込みその後回復してきたことを示しています。右の図は、居住用、非居住用の建築物の床面積の推移をしめしており、床面積が連続して増加していることを示しています。リーマンショック後の建築塗料の需要の伸びは、床面積の増加によって建築塗料の主用途である塗り替え需要が増えているためだと説明されています。
同社によれば、北米の建築用塗料の需要内訳は、新築用途17%(居住用12%、非居住用5%)、塗り替え用途42%(居住用30%、非居住用12%)、DIY41%となっており、塗り替え用途が主体であり、塗装作業者の内訳も専門の塗装業者が塗装する割合が徐々に増加し、全体の6割に達しています。
以上簡単にTOP3の決算資料の中の市況状況に関する資料をご紹介しました。来週月曜日には、日本ペイントを加えたTOP3+1の第2四半期の決算状況についてご紹介します。