かんとこうブログ
2021.12.08
消費動向調査に驚きの傾向
このところ注意していなかったのですが、12月2日に発表された消費動向調査11月の結果を見て少々驚きました。新規感染者数が激減してきた9月以降、これまでとは異なる傾向が現れていました。今日はこのことをご紹介します。
この消費動向調査は、内閣府が実施しているもので、あくまで消費者目線での感覚を調べています。同じ内閣府の景気ウオッチャー調査とは同じような設問でも、おおよそ10ポイント以上も低い(景気悪目)に結果がでる傾向にあります。
設問全部を総合した消費者態度指数には大きな変化がありません。まあ、こんなものかという結果です。大筋で平常に戻りつつあるというところでしょうか?このグラフ全体で10年ほどの推移を表しており、赤丸部分が最近の半年です。39.2という数値で、平常時の下限と見られる40に近い数値になっています。
変化が現れたのは、各調査項目のうちの「雇用環境」です。この「雇用環境」、これまでは群をぬいて他の項目よりも低い数値でした。これまでの不況期と同様、ひとつだけとびぬけて低かったのですが、この9月から急上昇しはじめ、とうとう10月以降は他の項目の数値を上回っていました。
赤丸部分がここ半年ほどの推移ですが、わかりにくいので、各調査項目について過去18カ月の数値とともにグラフにしてみました。
赤線が雇用環境なのですが、本当にここ最近急上昇しています。これは様々な制限緩和が背景にあり、飲食店などが急激に求人を増やしていることともおおいに関係しているとは思われますが、ここまで極端に上昇するとは予想外でした。
逆に各調査項目の中で低位に移ったものは、「耐久消費財の買い時判断」です。こちらは、石油をはじめとする諸物価高騰が原因かもしれません。
また、こうしたグラフを拡大して書いてみると、これまでの感染ピーク(第1波~第5波)までの時期に合わせて、各項目の数値が上下を繰り返していることに気付かされます。この調査は消費者に対する調査であり、雇用者というよりは被雇用者の立場での感覚を調べているものと思われます。何にせよ、不況期には必ず落ち込む雇用環境指数が、回復してきたというのは吉兆に違いありません。
オミクロン株の水際防止が奏功するよう祈ります。