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かんとこうブログ

2021.12.13

日本について OECD 経済審査報告書はどう書いているか? その2

先週金曜日の続きです。温室効果ガス排出削減のための取組強化についてです。ここもかなり厳しいことが書かれています。

最初の「温室効果ガス排出削減目標の達成は挑戦的である」は強烈な表現です。この「挑戦的」というニュアンスは「できもしないことを書いている」という意味であると解釈すべきです。その証拠に、下の方の提言の中では、かなり細かいところまでこうした方がよいと言及しているからです。また下図(図56)のグラフにおいても現在の延長線ではとても目標到達はできず、飛躍的な進展が必須と思われるからです。

エネルギー源の内訳においても、石油こそ減少傾向ですが、その分天然ガスと石炭火力は増加傾向であり、東日本大震災後、原子力発電がままならぬ中で化石燃料の割合はむしろ増えているのが現状です。

こうした日本の状況に対し、OECDとしては、「(絵空事ではなく、実現可能な具体策を提言せよ」と迫っているのです。先日のCOP26での「ゼロエミッション石炭火力」は、まだ実現可能と認識されていないかもしれません。

デジタルトランスフォーメーションの最大限の推進・活用についても、なかなか厳しい指摘が続きます。

この項目については、指摘もさることながら、提言の多さに驚きます。指摘と提言と要約すると以下のようになるでしょうか?「政府も民間もデジタル化が遅れており、かつ研究も弱い。理工系の学生の割合が少なく、企業での訓練も不十分である。これを改善するためには、民間の力も動員して強力に政府内データの連結化を推進し、日本の教育システムを根本から作りかえる必要がある」 言いたい放題です。少し反論させていただければ、デジタルトランスフォーメーションと女性の登用や理工系女子の増加は直接関係がないと思われますが、とにかく今の日本の教育や企業内制度では、抜本的なデジタル化は難しいと見ているようで、このことは冷静に考えてもよいのではないかと思います。

この図についても少し異議があります。確かに学生の中で理工系を学ぶ学生の割合が低いことは認めるとしますが、日本の場合、大学進学率が異常に高いこと、すなわち学生数が非常に多いことも考慮に入れる必要があるのではないかということです。つまり、理工系学生の数が足りないのでICT研究が弱いと言いたいようですが、絶対数で言えば、あるいは全人口あたりで言えば、社会に必要な理工系学生の数はそれほど不足していないのではないかということを言いたいと思います。

以上が123日に発表されたOECDの日本に対する経済審査報告書の内容です。指摘や提言の妥当性については議論のあるところでしょうが、少なくともこういう見方をされているということは認識しておくべきと思います。

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