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かんとこうブログ

2022.01.25

ワクチンの感染抑止効果は本当になくなったのか?

首相官邸ホームページにワクチンの接種回数別・年代別の感染状況が久しぶりに掲載されていました。確か昨年の10月半ばで感染者数減少のため掲載されなくなって以来の掲載ではないかと思います。今年の13日から9日までの1週間における年代別・ワクチン接種履歴別の感染者数が表にまとめられていました。これは実に素晴らしいデータで多くの情報を与えてくれます。今日はこの内容をご紹介します。注釈として、この数字は120日のアドバイザリーボードに提出されたデータをもとに作成とあります。120日の会議のデータがこの程度の日付のものしか提出できないのかとがっかりしますが、それを打ち消すほど価値のあるデータでした。掲載された表部分を示します。

この表からまず13日から9日までの新規陽性者の年代別、ワクチン歴別に新規陽性者(10万人あたり)を図に示します。右は表の数値そのままにワクチン歴別に新規陽性者数を表したもの、左はそれを合算してワクチン歴を合算した年代別の陽性者数として表したものです。

年代別にみるとワクチン歴に関わらず、20-29歳の年代が突出して多いことがわかります。これまでも若年層の感染が多いことが繰り返し報道で紹介されていますが、このように単位人口あたりの数値で比べればより明確になります。他のどの年代よりも、ワクチンの有無に関係なく突出して多いのです。

左の図も同様に20代が突出して多いことを表していますが、この図を作成した目的は12歳未満の感染が他の年代に比べて多いのか少ないのかを確認したかったことだったのですが、これで見る限りその上の12-19歳と比べても12歳未満が多いとは言えないという結果でした。幼児の感染が増えているとは言え、1月初めの時点では決して特に多くはなかったというのが結論です。

次にワクチンによる感染抑制率を計算してみました。計算式は 感染阻止率=(未接種者感染率-接種者感染率)/未接種者感染率 という簡単なものですが、未接種者も接種者も同様な行動をとったと仮定すればこの式でよいと思います。

結果を見て大変驚きました。一つ目の驚きは、高齢者の感染阻止率が大変高かったことです。これには未接種者と接種者の健康状態や行動が同じであるという前提が必要なのですが、感染しやすいあるいは重症化しやすいと考えられていた高齢者が、この1月の段階でもワクチンによって守られていたということになります。数字的にはむしろ若年層よりも高い阻止率となっています。

これは感染の要因としてワクチン接種よりも行動そのものが大きな影響を及ぼしているということを表していることになります。接種からの時間が短く、より体力のある若年層の方が接種、未接種に関わらず高齢者層よりも感染率が高いということは、行動こそが感染要因の最大のものであるということになるのはないでしょうか?

二つ目の驚きは昨年の8月あるいは9月段階と比べてもそれほど著しく感染阻止率が落ちていないということです。マスコミではさかんに抗体が減少し感染予防効果がなくなったと言っていましたが、それほどの低下ではないと思われる数値がでました。日本における対規模なオミクロン株に対するワクチンの感染阻止率のデータはこれまでなかったように思いますので、是非この統計を継続してはっきりさせてほしいと思います。

これらの結果は、1月初めの段階でのものであり、果たして感染の主体がオミクロン株であったかどうかが定かではありません。しかし、これまで述べてきたように年代別・ワクチン歴別の感染者数(10万人あたり)からこれだけの情報が得られます。ぜひもう少しタイムリーに開示をしてもらい、情報として国民に提供してもらいたいと思います。「由らしむべし知らしむべからず」では人は共感しません。

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