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かんとこうブログ

2022.02.17

2021年のGDP速報値に思うこと

215日に2021年第4四半期のGDP速報値が発表になりました。暦年としては2021年のGDPが決まったわけですので、今日はそのことについて書いてみたいと思います。

まず第4四半期のGDPとしては、実質の季節調整値で年率換算5.4%のプラス、要因は個人消費が回復しためであることなどが報じられました。この四半期の値について、いろいろと報道資料を見ましたが、西日本新聞の資料(下記URL)がとてもわかりやすかったので、これを引用してご紹介します。

https://www.nishinippon.co.jp/image/449633/

左は四半期速報値の概要で、四半期として1.3%、年率換算で5.4%のプラスで、プラス要因は主として個人消費の伸びであることがわかります。右の図は2019年の第4四半期を100とした時の世界のGDP推移を示した図で、他の報道でも似たようなグラフが示されており、「ようやくコロナ前の水準に戻ったものの、世界と比較すると日本は回復が遅れている」という説明がされているケースが多いように思いました。

確かに右の図を見ると日本はコロナ禍において、「落ち込んだ谷の深さこそ浅かったものの、なかなか水面上に顔を出せない」ように見えます。ただし、この図において注意しないといけない点があります。それは201910月には消費税増税が行われ消費が一気に落ち込んだからです。201910-12月のGDP成長率は年率換算で-10.6%という大幅なマイナスであり、2019年通年でも前年比-0.2%でした。ですので、この201910-12月を100とした指数で表すのはあまり適当ではありません。そこでもう少し長いスパンで眺めたときに今の状況はどうなのかを見てみることにしました。

昨年12月の第3四半期のGDP成長率発表時と同様に1994年から2021年までの実質GDP、およびその主要な構成要素である家計最終支出、民間企業設備、政府最終消費支出についての推移を示します。

赤丸で囲った部分がこの2年ほどの分にあたりますが、政府最終消費支出を除き、これまでの延長線からは外れ、線上に回復できていないことがわかります。また参考までに回帰式を求めると、それぞれの年額の増加は。GDP3.4兆円、家計最終支出が1.6兆円、民間l企業設備が0.6兆円、政府最終消費支出が1.5兆円となります。

一方でこの推移を前年比%の推移でみると以下のようになります。

このそれぞれの成長率の推移には特徴があります。GDPが大きく落ちこんだのはリーマンショックとコロナ禍ですが、これを基準にしてみると、家計最終支出は、コロナ以前には大きなマイナスを記録することがなかったことがわかります。つまり家計支出は比較的経済状況の影響を受けにくかったのですが、コロナではその通例から外れ大きく落ち込みました。それほど家計支出に与えるコロナの影響が大きかったと言えます。

一方で民間企業設備投資は、非常に景気の動向に影響を受けやすく大きく変動しますが、上の家計支出と異なりコロナ禍の影響はリーマンショック程ではありませんでした。コロナ禍の影響は個人消費に比べ企業設備への影響はリーマンショックほどではなかったということになります。

さらに政府最終消費支出では、景気動向に関係なく、連続して前年比プラスが続いています。回帰式からは、GDP成長の4割以上が政府最終消費支出であることになります。

 

赤丸で囲ったコロナ禍の2年分を見るとGDP、家計支出、民間企業設備において一見コロナ前の水準に戻ったかのように見えますが、2020年の下落幅に比べ2021年の増加幅ははるかに小さくコロナ以前への回復にはまだ遠い状況です。

20221-3月のGDP成長率は残念ながらマイナスを覚悟しなければならない状況かと思います。コロナ禍以降、GDP成長率は感染の拡大・減少と直接的に関係してきました。経済のためにも感染の収束こそが日本の最重要課題であると改めて認識されます。

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