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かんとこうブログ

2022.02.18

再びワクチン接種歴と新規感染者数の関係について

昨日首相官邸ホームページのコロナワクチンのサイト(下記URL)に掲載されている「ワクチン接種歴別新規陽性者」のデータが更新され、131日から26日までの1週間における新規陽性者のワクチン歴別内訳が公表されています。これまで、未接種者とワクチン2回接種者とでは10万人あたりの新規陽性者数が、大きく異なっていることを繰り返しお伝えしてきましたが、今一つ核心をつくようなデータを示すことができませんでした。今日はもう少し直感的に理解できる図表をお目にかけたいと思います。

https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/vaccine.html

上の図は13日以降1週間ごとの年代別新規陽性者数の推移を表しており、左が未接種者、右がワクチン2回接種者です。両方のグラフの縦軸は揃えてあります。こうして並べてみるとワクチン2回接種者の新規陽性者数の方が多く、ワクチンを2回接種してもブレークスルー感染は防げないという感覚を持つのも無理はありません。しかし、こうした比較は統計としては正しくありません。なぜなら母数が大きく異なるからです。いまや国民のワクチン接種率は80%を超えており、ワクチン2回接種者の方が圧倒的に多いのです。公平に比較するためには、人口あたりにそろえて比較しなければなりません。人口10万人あたりのワクチン歴別年代別の新規陽性者数は下図のようになります。

 

高齢者の新規感染者が増えてきていると盛んに報道されていますが、人口10万人あたりの新規陽性者の推移を見ると、未接種者については高齢者の新規感染者が激増していますが、ワクチン2回接種者に限ってみれば必ずしも他の年代の比較においても激増しているというわけではありません。それよりも改めてワクチン2回接種者と未接種者では感染割合が全く違うことが認識されます。

 

 

ただし、このデータはワクチン2回接種していれば感染しないことを示しているのではありません。2回接種していても感染する人はかなりの数にのぼることも事実ですが、感染する割合は未接種者に比べるとかなり低くなるということを示しているとご理解ください。未接種者が人口10万人あたり100人感染したとしたら、2回接種者ではどの程度感染を減らすことができるのかという数値を「感染阻止率%」としてこれまでもご紹介してきました。次にこの感染阻止率について年代別、時系列データをご紹介します。計算式はごく簡単で、未接種者と2回ワクチン接種者の人口10万人あたりの感染者数をそれぞれA,Bとすると感染阻止率=((A-B/A*100です。

左図の最新のデータでもこれまでと傾向は変わっていません。2回接種者の阻止率はこれまで同様年代別でかなり異なっており、若・中年層で低く、高齢層で高くなっており、これは日常行動の差によるものと考えられます。8090代では阻止率は95%程度にもなります。

一方で、こうした2回接種による感染阻止率の時系列変化が右図です。89月の第5波のデルタ株に対する感染阻止率は90%を超えており非常に高かったのですが、実は今でも全体としては75%程度はり、65歳以上でみれば85%程度もあります。

この数値は、この1月に発表されたイギリス健康安全庁のデータと比べるとくらべものにならないほど高い数値です。イギリスも2回目接種後半年経過すれば、オミクロン株に対してはいずれのワクチンも感染阻止率はほぼ0%になると報告されています。

以上を踏まえて現在の日本の状況を見たとき、ブースター接種に対する過度な期待へ懸念を感じます。2回接種では効果がなく、3回接種すれば100%かからないという理解は明らかに誤っています。3回接種でも感染する可能性はゼロではありません。

また幼児や児童の感染が増加していることを見ると、こうした年代も含めて未接種者への接種を優先して進めるべきではないかとも思います、未接種者は2回接種者に比べ明らかに感染しやすいのですから。

2回接種者でも実際に多くの感染者がいる以上、感染阻止率はまだかなり高い数値であると言ってもあまり意味がないかもしれません。がしかし、事実は事実として伝えたいという気持ちは否定できません。

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