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かんとこうブログ

2022.02.08

実効再生産数が1.0を切る予測日は少し先へ延びるかも・・

東京都の新規感染者数についてこの1週間の前週の同じ曜日との比率をみるとおおよそ1.1倍程度になってきていると報道されました。そこでまた、全国の各都道府県別の実効再生産数の推移と現時点(26日現在)の数値を見てみたいと思います。データとグラフはいつものように東洋経済のコロナ特設サイトから引用させてもらいました。

沖縄、広島、山口の先行感染拡大県はすでにすべて1.0を下回っています。全国平均で1.16であり1.0が目前となってきました。東京圏では、東京都が全国平均と同じ1.16、神奈川と埼玉が1.23,千葉が1.20と全国平均よりも若干高めです。大阪圏では大阪府が1.14,兵庫県が1.22、京都府が1.18と全国平均前後であり、愛知県が1.16、北海道が1.27でした。特に実効再生産が高い都道府県はなく、総じて全国平均前後で推移していると見ているとよいと思います。

ところで、この東洋経済の特設サイトで示されている実効再生産数は、次に述べるような数式で計算されている簡便法であると同サイトで説明されています。

実効再生産数とは「1人の感染者が平均して何人に感染させるか」を表す指標。計算式は「(直近7日間の新規陽性者数/その前7日間の新規陽性者数)^(平均世代時間/報告間隔)」。平均世代時間は5日、報告間隔は7日と仮定。リアルタイム性を重視して流行動態を把握するため、報告日ベースによる簡易的な計算式を用いている。(東洋経済オンライン、コロナ特設サイト)

一方で、世代時間については以下のように説明されています。

世代時間とは、感染源となる人が、自分が感染してから2次感染を起こす(別の人にうつす)までの時間のこと。イギリスの研究者でケンブリッジの数理科学出身のアレックス・セルビー氏の分析によると、デルタ株の平均世代時間は4.6日、オミクロン株は2.1日でした。」 (中日新聞LINKED地域医療ソーシャルNEWS

ポイントは、東洋経済のサイトでは平均世代時間を5日と仮定して計算していることです。これはデルタ株までは適当と思われますが、オミクロン株の場合はもっと短く2.1日であるというところです。直近の一週間とその前の一週間の比率について(平均世代時間/報告日数)のべき乗値を計算しているので、世代時間の数値が変われば実効再生産数は当然変化します。そこで、東京都を例にとって平均世代時間を変化させて計算してみました。結果を下図に示します。

世代時間を2日、3日、4日、5日、7日とし、報告間隔はそれぞれの世代時間に2日足した日数としました。結果はご覧の通り山の高さが変化することとなりました。それぞれの世代交代日数における実効再生産数の最大値は、世代交代時間2日が3.203日が4.044日が4.715日が5.267日が6.10となりました。これは当然の結果とも言え、理由は世代交代時間が短いほど1週間の中で交代する世代数が増えるからです。世代交代時間が2日であれば1週間のうちに3世代半も交代していくので、一人あたりが感染させる人数が大きく減じることになります。

これまで世代時間5.0日を用いて計算した結果の実効再生産数の最大値5.26はこれまでの感染拡大期の数値よりもとびぬけて高かったのですが、世代交代時間2日での数値3.20の方が感覚的には実際に近いような気がします。ただし実効再生産数の値としては1.0を上回るか下回るかということの方が重要なのですが、それにはこれらの世代時間や報告間隔は大きな影響は及ぼさず、ほとんど直近の1週間とその前の1週間との比率で決まることになります。

それぞれの世代時間の推移のグラフから対数近似式で実効再生産数が1.0を下回る日を推定しました。結果は世代交代時間が短くなるほど1.0を下回るには時間がかかりそうで、世代交代時間2日では214日、3日では212日、4日では211日、5日ではこれまでの報告通り210日、7日では29日となりました。これまで世代交代時間5日で計算して実効再生産数が1.0を下回る予測日が210日であることはここ2週間ほど不動でしたが、より短い世代時間を使うと少し先に延びることになります。

一方で、先日もご紹介しましたように、感染日と報告日の間には少なくとも5日程度の時差がありますので、実はもうすでに実際の感染者は減少に転じはじめているということは十分あり得るのではないかと考えています。

感染者が減少に転じたからと言ってすぐに医療の逼迫が改善されるわけではありませんが、少しではあるものの先が見える状態になるのではないかと期待しています。

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