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かんとこうブログ

2022.02.15

日本ペイントの2021年度第4四半期&通年決算発表

昨日日本ペイントから2021年第4四半期と2021年度通年決算(決算期1-12月)の発表がありました。資料は同社のホームページ上に公開されています。資料の量が多いのでとても解析しきれませんが、とりあえず私の興味のままに数字をご紹介することにしたいと思います。詳しくは下記URLをご参照ください。

https://www.nipponpaint-holdings.com/assets/files/name/20220214ir02_j.pdf
私の興味にままにみていきますが最初は第4四半期(202110-12月)の業況をどう見ているかということです。下図をご覧ください。今日ご紹介する図表は上記URLからの引用または引用した数字をもとにしたグラフです。

4四半期は、世界中で起きていた半導体等の部品不足による自動車の生産減少に苦しんだことが明瞭です。(具体的な数字は後述)一方建築の方は平年並みからやや好調で最大市場の中国では同社自体の健闘もあり業績を伸ばしています。おおよそ日本から想像していた景色と似たようなところでしょうか?

上図の説明としては以下のような内容が書かれていました。説明を引用します。太字部分引用

自動車: 日本・米州は、コロナ影響からの回復途上にあった前期に対して、今期は半導体不足やコロナ影響による部品供給の停滞を背景とした減産により前期を下回る。中国は、半導体不足の影響により、自動車生産台数が前期を下回る

築: 日本は、コロナ影響に配慮した営業活動の制限もあり、前年並みに推移。中国は、DIY市場が各都市で堅調な成長が継続し、外装塗料や基盤製品、補材などの販売が好調に推移。Project市場も引き続き旺盛な需要と値上げの浸透で、底堅く推移。オセアニアは、コロナ規制の緩和によってDIFM市場が回復するも、旺盛な塗り替え需要を背景に好調であったDIY市場において、消費者需要が落ち着きを見せ、全体では前期をわずかに下回る。米州は、低金利政策による好調な新築・中古住宅市場が継続。ただし、原材料サプライチェーンの混乱により、業界全体で製品不足・価格上昇が発生

次に需要分野別業況を数字で見てみましょう。第4四半期および通年の事業分野別地域別での実質ベースの売上額前年比%です。

上図、左が第4四半期、右が通年の実質ベースでの売上前年比%です。グラフは左右で縦軸の数値を合わせていますので、差異が明確に理解できると思いますが、第4四半期での自動車の不振が顕著です。この自動車不振の影響で日本とアメリカでは、地域全体としても第4四半期の売り上げが前年を下回りました。

一方通年では、主要分野・地域において実質ベースで売上高が前年を上回りました。特に顕著なのがやはりアジアであり、その主体は中国市場です。中国では汎用のみならず工業用でも大幅に売り上げを伸ばしました。気になるのは地域別に並べると日本の低調さ際立つように感じられることです。

ということで、次は地域別の通年での売上高、営業利益の前年(同期)比を見てみましょう。

すこし詰め込みすぎてみにくくなったかもしれませんが、左上から2020年と2021年の売上高、左下同前年比、中上が2020年と2021年の営業利益額、中下が同前年比です。各地域とも増収になっていますが、営業利益については、日本、中国、アメリカで減益となっています。世界的に原料高騰の影響が大きかったものと考えられます。オーストラリアは増収増益と検討していますが、主たる事業内容が汎用塗料と塗料周辺であるため、他地区ほどの影響を受けずにすんだのではないかと思われます。

実質ベースでの売上と営業利益の前年比について右の表にまとめました。極めて好調だった「その他」は、トルコのBeteK Boyaの好調がその要因のようですが、詳しいことはわかりません。売上高が同じ微増でありながら、オセアニアが増益、日本とアメリカが減益と別れたのは上述の主たる事業内容の差と考えています。

同社の最後に2022年の見通しをご紹介します。わかりやく作られた図であり、直観的に理解できるのではないかと思います。図を4枚引用させてもらいます。

概要欄に記載されているとおり、市場が回復することで過去最高の売上/営業利益になると予測、さらに昨年買収した欧州の会社が加算されることを考慮して数字が出されているようです。

収益性に影響の大きい原材料価格については、上期まで上昇を見込むものの以降は落ち着くと予想。同時に2Q以降は製品の値上げが進みマージンを回復できると想定されているため、2Q以降は増収増益ベースが予想されています。

全体に市場状況は平年並みの予想ですが、中国のProjectでは、「規制当局や不動産ディベロッパー、消費者の警戒感」が、オセアニアでは「前年にかけてコロナ影響で活況を呈したDIY市場での販売数量の減少」が懸念材料となって弱含みとされました。

2022年の日本の需要見通しはそれぞれの分野で需要回復が想定されています。

ざっと駆け足で自分の興味のままに決算発表資料をご紹介しました。2022年の計画については、膨大な情報に基づき、時間をかけて作成されたものであることは想像に難くありません。業界各社にとっても参考指標になるのではないかと考え紹介させてもらいました。

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