かんとこうブログ
2022.03.04
鉛含有塗料規制についての世界動向と日本の位置づけ
本日、”Lead Paint Alliance”なる機関からメールをもらいました。直訳すると「鉛塗料同盟」でなんだか鉛含有塗料に関する養護組織のように思われますが、実は全く正反対で、鉛含有塗料廃絶のための組織であり、塗料における鉛使用の段階的廃止を促進するために2011年に設立された組織であり、鉛廃絶に取り組む政府、民間産業、NGOの自発的な共同連帯組織であり、国連環境計画(UNEP)と世界保健機関(WHO)が共同事務局を務めています。
以前日本塗料工業会に在席していたころ、この鉛廃絶の仕事に関わった関係上登録したメールアドレスがまだ有効とされて、時々情報が送られてきます。今日ここでこの「鉛塗料同盟」のことをご紹介しようと思ったのはひとえに下の地図にあります。まずはこの地図を見ていただきましょう。
この地図は昨年末現在の鉛含有塗料に関する規制状況を表しています。今や世界では規制している国が増え100か国に迫ろうかという勢いです。日本はもとの地図では小さくて見にくいので、拡大して別掲してあります。日本は青ではなく黄色で色付けされており規制を行っていない国に色分けされています。
そんなばかな、日本ではもうとっくに市場からなくなったではないかと言われそうですが、表題をご覧ください。「法的拘束力を有する」と書かれています。この地図は法律で規制されているかどうかが基準で色分けされているのです。
日本の場合、諸般の事情からあくまで業界の自主規制による鉛含有塗料の廃絶という形が取られました。日本塗料工業会が中心となってパンフレットを作成し関係各方面に配布するとともに鉛含有塗料のユーザーであるさまざまな業界団体を訪問し理解をもとめました。3年間の猶予期間を設けて自主規制による鉛含有塗料の廃絶を進めていき、2020年3月末で鉛塗料の製造・販売終了が宣言されました。
当時、こうした自主規制による鉛含有塗料の廃絶も有効な手段のひとつであると国際的にも認めてもらっていたと認識していましたが、やはりこの「鉛塗料同盟」にとっては法的拘束力を持った措置かどうかが判断基準であるようです。
もはやこのことについてコメントすべき立場にはありませんが、このままでよいかどうか関係者間で協議しても良いのではないかと思います。おそらく当時の関係者はすべて変わってしまい、もう終わったこととして扱われているのでしょうが、このままだと「鉛塗料同盟」の世界地図において日本は永遠に「鉛を規制していない国」として色付けされることになるものと思います。