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かんとこうブログ

2022.04.08

やはり20代から感染が拡大するようです

首相官邸ホームページに毎週木曜日に掲載されるワクチン接種歴別新規感染者情報は、とても貴重な情報を提供してくれているのですが、その割にはあまり報道されることがありません。本ブログでは毎週のように掲載させてもらっており、3回目ワクチンの効果を検証するには大変意味のある資料だと思っています。

昨日掲載された資料は、321日から27日までの新規感染者に関する情報で、本格的に再拡大の兆しが見えた1週間前のデータとなりますが、それでも再拡大に関して大変貴重な情報が含まれていました。早速それをご紹介します。その情報は、ワクチン接種歴別の人口10万人あたり感染者数の推移の表を示す下の表にあります。

上がワクチン未接種者、下が2回(以上)接種者の当該1週間の10万人あたり感染者数で、13日の週から321日までの週の推移を示しています。注目してもらいたいのは右端の最新データで、20-29歳のところだけピンクで色付けしていますが、これは他の年代がすべて前の週にくらべ減少しているのに、20代だけがわずかとは言え増加しているのです。

実はこの第6波においては、ワクチン接種の有無に関係なく、20代の感染者数ピークだけが他の年代よりも早くなっています。表中の黄色く色づけした部分が感染者数がピークの週ですが、20代が先行し他の年代が追随し、最後に高齢者のピークが訪れるというパターンは、ワクチン接種の有無に関係なく同じです。これだけを見ると感染拡大は20代が牽引しているとも言えそうです。

来週発表されるデータを見れば、もっとはっきりしたことが言えそうですが、これから第6波の感染パターンがまた繰り返されるのではないかと心配しています。と書くと、それは3回目ワクチン接種を高齢者優先で進めたためではないのかという意見が出てきそうですが、それは以降の説明によりはっきりと否定しておきたいと思います。

この図は上の表をグラフ化したもので、左が未接種者、右が2回(以上)接種者です。縦軸目盛りが左と右とで10倍違い、圧倒的に未接種者の方が10万人あたりの感染者数が多いのですが、見ていただきたいのは、右のグラフでこの第6波において、ワクチン接種者の感染者は10万人あたりで比べると、最初から今に至るまで若い世代が多いということです。50歳を境として二つのグループを形成していると言ってもよいくらいです。

これは以前から書いていることですが、2回目の接種から第6波までの時間は若い世代の方が短く、従って抗体数も多いはずで、感染抑止力もあると考えらます。しかし、ワクチン接種者に限ってみれば、事実は若年世代の方が感染が多いのです。これの意味するところは、感染抑止という観点ではやはりその人の行動が大いに関係しているということではないでしょうか?

そして若い世代の感染が多いことと、3回目接種を高齢者から開始したことの因果関係はないと考えられます。それは下のデータを見れば明らかです。

この3枚のグラフは、感染初期の13-9日の週、感染拡大ピークの131-26日の週、そして最新データである321-27日の週における世代別ワクチンによる感染抑止率のグラフです。感染抑止率というのは正式な概念ではなく、私が勝手に考えたもので、(未接種者感染率-接種者感染率)/(未接種者感染率)で表されます。意味するところは、「接種者の感染者数が、未接種者と同じ感染率で感染したと仮定した感染者数に比べてどれだけすくないか」というものです。

明らかなことは、ワクチン接種による感染阻止率は、第6波の最初から今に至るまで一貫して高齢者の方が高いということです。1月の最初に週においては高齢者といえども3回目接種はほとんどゼロでした。にもかかわらず、高齢者の阻止率は90%を超えており、50歳未満では70%程度に留まっています

若年層と高齢者層の感染阻止率の乖離は、時間が進むにつれ拡大する傾向にあり、高齢者の阻止率はさらに高くなり、若年層の阻止率はさらに低くなってきています。この乖離傾向が強まったことに関しては、3回目接種が高齢者優先で進んだことと関係しているかもしれませんが、感染阻止率が年齢別に二分していることの本質ではありません。本質は、阻止率は単にワクチン接種歴だけでは決まらないということです。

ここで議論してきたことは、ワクチンは感染阻止に有効ではないということではありません。外国のデータを鵜吞みにして、「ワクチンは感染抑止には効果がない。重症化予防のために接種している」などとコメントしてきた専門家と呼ばれている人たちにはこのデータを突き付けてコメントを求めたいところですが、申し上げたいことは、以下のことです。

 ワクチン接種は例え2回のみでも、かなりの感染抑止効果はある。
 ただし、その抑止効果は完璧ではなく、その人の行動にもかなり左右される。

正直言って3回目ワクチンの感染抑止効果がどこまであるか疑問はありますが、打たないよりは打った方がよいことは間違いありません。そして3回目ワクチンを接種したからと言って安心せず、これまで通りの感染防止のルーティーンを継続してしっかり自分を守ることが大切だと思います。

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