かんとこうブログ
2022.06.10
「1 年で最も日の入りの遅い日」についての補足
5月の半ばころから当ブログのアクセス先として、2020年6月29日の「今日は1年で日の入りが最も遅い日です」(下記URL)が増えてきました。日によっては20件近くにもなっています。通常は「海水はなぜさびやすいか?」が過去の記事の中では最も多いのですが、やはり季節柄、日の入時刻に対する関心が高まってくるのであろうと推測しています。
今日は1年で日の入りが最も遅い日です – 関東塗料工業組合 (kantoko.com)
この記事では、日本で一番日の入りが早い場所、遅い場所を議論しており、それが読者の興味を引いたのかと推測していますが、実は夏至付近の日の入りの様子を表す図が添付されていないため、読み返してみると、文章だけの説明ではなぜそのような順番の日の入時刻になるのかがわかりにくいのではないかと言う気がしました。そこで今日は2年前の記事の補足を書こうと思います。
2年前に記事ではこんなことが書かれています。「日本の国土のうち、一般人が居住している地域に限定すると最も早いのは、東京都小笠原村の午後6時29分で、最も遅いのは沖縄県與邦国島で午後7時41分です。あれ、納沙布岬じゃないのか?と思われた方も多いのではないかと思います。北方四島を除き、日本の最東端である納沙布岬が一番日の入りが早いはずではないかと思われるのは当然ですが、実際のところ、納沙布岬の日の入り時刻は、午後7時1分でほぼ東京と同じです。」読まれた方は「ふうん。そんなものか?」と思われたかもしれません。さらには「確か初日の出の時と同じようだ」とも思われる方もいるかもしれません。そう思われた方!正解です。日本各地の夏至の頃の日の入時刻は、冬至の頃の日の出時刻と同じような「早い、遅い」の関係にあるのです。その理由をこれから説明します。
少しややこしい図ですので説明します。左部分は、理科の教科書などにある季節ごとの太陽と地球の位置関係の図です。実は夏至の頃の日の入を説明するためには、夏至の夕方の地球が書いている図が必要なのですが、ほとんどはこの逆向きで夏至の明け方の地球が書いている図しかありません。あちこち探してようやく見つけました。これは武田塾という予備校の学習資料らしいのですが、お借りしています。
さて夏至の頃の地球の日本付近を拡大したのが右の部分の図です。縦線が3本入っていますが、この線は日の入が同じ地点を結んだ線です。真ん中の線をみると納沙布岬と東京付近が同じような日の入時刻であることがわかります。
さらにこの図で冬至の地球をみてもらうとちょうど明け方の状態が見えます。そして昼と夜の部分が逆ではありますが、昼と夜の境界線は、さきほどの夏至の夕方と同じような感じになっているのがわかると思います。これが先ほどの各地の夏至の頃の日の入り時刻と正月の日の出の時刻の関係が似ていることの説明です。
最後に夏至の頃の日の出の時間はどのようになっているかを説明します。
左の写真は夏至の頃の朝6時の写真です。先ほどの図を紙の反対側から見た図になります。この写真の日本付近を拡大したのが右の図で、縦線は同じ日の出時刻を結んだ線です。日の入の時は日本列島が立っていましたが、今度は横に寝ています。となれば、最も東にある納沙布岬が最も早く、最も西にある与那国島が最も遅くなるのは明らかです。
さきほどの日の入時刻では、最も早い場所と最も遅い場所の差は1時間12分しかありませんが、日の出では最も早い場所と最も遅い場所の差は2時間24分、つまり日の入時刻の差の倍ほどあります。つまり昼の長さが随分と違ってしまうのです。このことも2年前に理由を説明せずに「今日の昼の長さ(日の出から日の入りまでの時間)も各地でさまざまです。最も長いのが納沙布岬の15時間22分、最も短いのが與邦国島の13時間39分です。逆に冬は納沙布岬が一番短く、與邦国島が一番長くなります。」と理由の説明なしに書いておりました。今日の説明でこの部分の理由も理解していただけると思います。
ひとつだけお断りしておきます。上の図中日の入時刻は2020年、日の出時刻は2022年と別の年の時刻を使っています。日の入時刻は2年前のブログの記事からそのまま使い、日の出時刻だけ計算したという手抜きによるものです。大勢に影響はないと思いますが手抜きをお詫びします。日の出時刻の計算には以下のサイトを使用しました。