かんとこうブログ
2022.06.16
かなり意外だった日本の労働事情・・OECDの統計からその1
日本の賃金水準が低下していると言われて久しくなりますが、OECDのデータで調べてみようと思いました。今日と明日の2日間は、賃金、労働時間、正規/非正規、労働参加率などのデータをご紹介します。
最初はひとりあたりGDPからです。
赤色の日本はG7の中で最低で、アジアでもシンガポール、香港、韓国よりも下の位置にあります。全体としてここに挙げられた65か国中下から38番目で、辛うじて真ん中よりも上ですが、OECDの平均よりも下の位置にあります。かつて1990年代にはOECDで2番目の位置にあったことを考えると大きな違いです。次はひとりあたり純所得です。
先ほどから対象国が減りほぼOECD内の比較になりましたが、やはりG7中最下位は変わらず、中央値よりも下の位置でした。先ほどのひとりあたりGDPもOECD内ではこの程度の位置になるのではないかと思います。ここまでは、あらかじめ予想されていましたが、ここからは少し意外な結果でした。
次は年間労働時間のデータです。
かつて日本と言えば長時間労働、長時間残業のイメージだったと思いますが、年間の平均労働時間は1588時間で、46か国中少ない方から数えて21番目、中央値よりも労働時間が短く、さらにカナダやアメリカよりも短くなっています。「そんな、もっと働いている!」という方が多いと思いますが、この労働時間の少なさは、働き方改革の成果?のはずでもなく、要因は別なところにありそうです。
次はパートタイム労働者率です。
ここでパートタイムとは週30時間未満の労働時間で働く労働者の割合です。日本では25%強の労働者が週30時間未満であり、G7の4中で最多割合で、全体的にも上から4番目という高(?)位置にあります。
次に不定期雇用を含む一時雇用労働者割合です。
もともとの「Temporary employment」はニュアンスとしては一時雇用または短期雇用ですが、定義としては契約期間を特に定めない契約による雇用も含むとしています。ここでも日本はG7中最多で、中央値よりもはるかに多い割合の約15%の一時雇用者が働いていることがわかります。さきほどのパートタイム労働者と合わせると約40%の人たちが週当たり労働時間または雇用期間が不安定な状態で働いていることがわかりました。これが年間の労働時間が想像以上に短かった要因であり、かつひとりあたりGDPやGNIが他国に比べて伸び悩んでいる最大の要因ではないかと思います。
明日は、労働参加率、男女賃金格差、失業率などのデータをご紹介します。