かんとこうブログ
2022.06.02
日本はICTでは一流?・・OECDの統計資料
OECDは(Organization for Economic Co-operation and Development: 経済協力開発機構)にはヨーロッパを中心に現在38か国が加盟しており、ここから様々な統計資料が発表されています。実はOECDには日本語のサイトがあり、時々覗かせてもらっています。今日はその中に面白い資料を見つけたのでご紹介することにします。ICT(Informatnion and Communication Technology)に関する資料ですが、これを見る限り日本はICTについては、決して負けていないと思われるのですが・・
https://www.oecd.org/tokyo/statistics/
最初のデータは、人口100人あたりのモバイルのブロードバンド契約件数です。
ここで言うブリードバンドとは256kbit/s以上の通信速度を差しており、2009年から2021年にかけての推移を示しています。赤枠で囲ったのが日本ですが、この項目に関してはOECD38か国中の第1位でした。OECDの平均が2021年第2Qにおいて110件ほどであり、第2位のアメリカの上を行っています。携帯の普及は他の先進国よりも進んでいるようです。次に住民100人あたりの固定ブロードバンド契約数を見てみます。
先ほどとは少し様相が異なり、日本の接続数はこれらの国の中で最低であり、黒色で示されたOECDの平均とほぼ同じようなレベルになっています。日本の場合には契約数増加の割合がだんだん鈍くなってきています。このことを裏付けるのが次のデータ、家庭のPCからのインターネット接続普及率です。
アメリカのデータが途中で途切れているので現況が不明ですが、少なくとも他の国と異なり、日本は2009年以降接続数が減少に転じています。これは素人目にはスマホの普及と関係があるように思われますが、詳しいことはわかりません。ここまでのところまででは、素人の想像としては、日本はスマホの普及が先進国中では最も進んでいて、その分家庭のPCの利用が減少傾向にあるように思えます。
次にICTの産業的側面をみてみましょう。最初はICT産業による付加価値額です。
ICT産業にいける付加価値とは、情報通信技術関連産業(コンピューター、電子機器、情報通信機器などの製造、情報通信サービス、放送、出版などにおける付加価値で、国全体の付加価値の何%にあたるかで比較しています。日本は韓国についでOECD全体の第3位でした。次にICT産業の従事者数を見てみましょう。
ICT産業で働く人たちの数においても、日本は全体の上位にあります。登場する国の数が減っており、データのない国もあり、韓国もその一つです。
ICT関連のデータで最新の数字が載っているのはこれだけでした。コロナ禍を通じて日本は、国全体のデジタル化の遅れが指摘されました。しかし、こうしてみる限りにおいては、日本のICT関連の現状は」決して世界に遅れているわけでもないように思います。仕事のやり方をデジタル化で効率化する環境としては十分にあるのではないかという気がします。となると要は仕事にやり方、進め方であるのでしょう。働き方の意識の問題ともいえるかもしれません。
最後に日本の現状を端的に表す1枚のグラフをご紹介します。一人当たりGDPの比較です。
日本は2021年44665ドルでこれらの国の中位にありますが、G7の中では最低であり、アジアでもシンガポールはもちろん、香港、韓国よりも低い金額になっています。ICT環境は負けていないのに、ひとりあたりGDPでは後塵を拝している・・日本にはデジタル庁だけでは解決できない課題があるように思います。