かんとこうブログ
2022.06.07
SDGレポート2022 その2 SDGsと経済、そして世界各国・各地域の現状
昨日は、日本のSDG評価を中心にご紹介し、日本が特に他の先進国と比較して遅れている目標は何であるのかということも併せてお知らせしました。今日は世界全体では、どういうことになっているのかということを中心にご紹介したいと思います。
最初にご紹介するのは、世界の各地域の評価表です。ただし西ヨーロッパなどはOECDの一部として表現されています。左から右に向かって赤が増えていくように並べました。こうして並べてみると、地域の差というのは所得の差であるようにも思えます。ただし例外もあって12のつくる責任、つかう責任、あるいは13の気候変動対策については、むしろ逆の傾向にあるように思います。この12は、資源や製商品を無駄にしない、ごみや廃棄物をださないようにすることが求められており、13ではCO2排出量などを削減していくことが求められます。貧しい国では経済的事情から実態がこうした目標に即しているケースが多くみられる(つまり無駄にできるだけの余裕がない)のだと想像しています。とにかく、SDGの評価は経済と関連していることは明らかです。
そのことがもっとはっきりと表れるのが次の表です。この表では国民一人当たりの所得によってグループ分けされた国々のSDG評価です。左から右へ一人当たりの所得が少なくなっていくにつれ、12と13を除きSDG評価が低くなっていくことがわかると思います。
SDG評価と経済の関係は、SDG評価と政府支出の関係にも現れます。
上の図は、国民一人当たりの政府支出とSDG評価の関係を示したものです。政府支出の少ない国とはすなわち国民の所得の低い国ということであり、そうした国では十分なSDGに関する活動ができないということなのです。
SDGと経済の関連ということでは、もうひとつデータがあります。この図は、世界のSDGスコアの平均の推移を表しています。注目してほしいのは2019年から2021年にかけて、SDGスコアが改善されていないことです。この停滞の原因は言うまでもなくコロナ禍です。世界経済の停滞がSDG活動の停滞につながるということは重要な事実であり、SDGを進めるためには、経済が順調であることが必要があることを示しているのです。
最後にSDGスコアは政府の姿勢とも関係しているという図です。横軸は各国政府のSDGに対しての約束(コミットメント)と努力についての評点です。フィンランドをはじめランキング上位の国はみなその国の政府がしっかりと約束し、それを果たすべく努力していることがわかります。赤丸で囲んだ日本もそれなりの位置にありますが、注目してほしいのは青丸で囲んだアメリカです。政府の取り組みとしてはほとんど最低の評価となっています。昨日ご紹介したようにアメリカのランキングは41位と世界の超大国らしからぬ位置にありますが、その原因はこうした政府の姿勢にあるのかもしれません。
こうしてみてくると、SDGの理念を実現するためには、ある程度の経済的な豊かさをすべての国が実現することが必須のように思います。そうした意味でSDG17の目標の最後の17番目は最も重要な目標なのかもしれません。