かんとこうブログ
2022.06.01
塗料原材料価格高騰続く・・日銀の製造業部門投入物価指数2022年4月の動向
5月末に掲題の日銀の製造業部門投入物価指数2022年4月の値が発表になりました。先月に引き続き、塗料に関係がありそうな物質を選んでご紹介します。日銀の発表は2011年=100の指数値として発表されますが、ここでは2021年1月=100とした指数値に換算してご紹介します。この投入物価指数は極めて多数の物質の価格指数が収録されていますので、ご興味のある方は下記URLをご参照ください。
https://www.stat-search.boj.or.jp/ssi/cgi-bin/famecgi2?cgi=$nme_a000&lstSelection=PR03
今月も2021年1月=100とした時の2022年4月の指数の低い順にご紹介していきます。
これらの中では、酸化チタンと無機顔料はともかくとして、合成染料・有機顔料や樹脂材料がさほど値上がりしていないのが意外に思われるかもしれません。実は合成染料・有機顔料は、2011年=100とした指数そのものは200を超えており10年以上の長いスパンで見れば十分値上がりしているのですが、2021年1月以降で見るとさほどでもないということなのです。また樹脂材料は過去の例でみても、原油やナフサの値上がりがタイムラグのあと波及し、かつインパクトもやや弱められるという傾向があります。ですので、まだこれから遅れて上がってくる可能性があります。
カーボンブラックは油を燃やして製造するので原油に連動します。ここに並んだ化学物質は基本的に石油連動型と考えられます。総じて言えば、昨年1月以降方今までで1.5倍前後になったということです。
最後に石油系混合溶剤とキシレンですが、これはほとんどナフサ連動と言ってもよいような状況です。それに比べると塗料の価格上昇は極めて緩徐です。しかし、10年ほど遡ってもここまで動いたことがないくらい価格が変動しなかった商品群ですので、これでも大変に珍しいことと言えます。最後に石油関連品の指数です。
原油とナフサの高騰ぶりが目を引きますが、この二つは完全に連動しています。これらの中でガソリンの値上がり幅が最も小さいのは、価格に占める税金のためと思われます。また政府からの補助金も出ています。決して石油業界が国民のために値上げを躊躇しているわけではないと思います。
最後に3月から4月への各品目の指数変化の一覧表を示します。
3月から4月にかけて指数が二桁であがったのは、原油、ナフサ、合成アルコール、可塑剤でした。一方で下がったのは、塗料、軽油、ガソリンでした。ウクライナ侵攻の長期化、EUによるロシア産原油の輸入禁止などこの先も石油関連製品の価格動向は楽観視を許さない状況かと思います。今後もウオッチを続けます。