かんとこうブログ
2022.09.21
史上4番目だった台風14号
先週土曜日に鹿児島県に上陸し、九州、中国地方を縦断して日本海に抜け、東北地方に再上陸して最終的に太平洋に抜けていった台風14号は、数十年に一度と言われた”猛烈な”台風でした。被害に逢われた方々に心よりお見舞いを申し上げます。
台風は、理論的には上陸時の気圧が低いほど強風が吹くことになりますので、台風の強さとしてはこの上陸時の気圧の低さで比較されています。
今回の台風14号の上陸時の気圧は935ヘクトパスカル(hPa)と報じられています。この気圧を、気象庁の「過去の台風」のデータに照らし合わせると史上4位タイの低さでした。(下図)
この表の中を見回すと、ランク入りしている台風はいずれも2000年以前のものであり、今回の台風14号が21世紀になって初のランク入りということになります。これは最近台風が多いのではないかという印象とは大いに異なりますので、この気象庁の「過去の台風」に収録されているデータから、1951年以降の発生件数、接近件数、上陸件数のデータをグラフにしてみました。
ここで接近件数とは、台風の中心が気象台のある地点の300km以内に接近したものを指します。1951年から2021年までのそれぞれの件数のグラフですが、いずれも明確な増加も減少も示していないと読み取れます。にも拘わらず最近の方が風水害が増加しているという印象があり、事実毎年のように大きな水害が発生し、線状降水帯という専門用語もすっかり一般化してしるほどです。
ということで、今度は風水害の件数を調べてみました。これも気象庁のサイトにデータベースがあるのですが、収録の基準があいまいで「被害を総合的にみて規模の大きなもの、社会的な関心・影響が高いもの」ということになっていました。ですが、これ以上信頼性の高いデータも思いつかないので、これをグラフ化してみました。この風水害一覧表は、よく見ると「台風単独」「台風と前線の複合」「非台風」の3つに区分されることがわかりましたので、区分けして集計、図示します。
気象庁 | 災害をもたらした気象事例 (jma.go.jp)
この集計でも年々風水害が増加しているという傾向は認められませんでした。ただ、ひとつの発見は、風水害は台風単独で引き起こされる場合よりも、前線の影響が加わって起こるケース、または前線等の非台風によって起きているケースもそれぞれ同じくらいあるのだということです。おそらく1日の降水量であるとか線状降水帯ならではの現象を追いかけることができれば、近年の風水害の激甚化は、データとして証明できるのではないかと思います。
二酸化炭素濃度の上昇とともに起こりうる現象のひとつに、降雨の極端な偏在があります。気温が上昇すれば空気中の保持できる水蒸気量があがり、単位時間あたり降雨量の増大が起こります。一方で干ばつも極端になり、洪水と干ばつの二極化すると言われています。風水害のニュースに接するたびに、このことが思い出されてなりません。