かんとこうブログ
2022.12.06
PPGとAKZONOBELの2022年第3四半期報告書に見る原料価格と製品価格
今日はPPGとAKZONOBELの第3四半期の報告書から、原料価格高騰と製品価格値上の状況をご紹介したいと思います。この2社は比較的オープンに情報を公開していますので、なにがしのかの参考になればと思っております。
まず両社の第3四半期における売上前年比の要因を比較してみたいと思います。
左がPPGの要因分析、右がAKZONOBELの要因分析で、中央部の比較表にまとめてみました。売り上げは両社とも前年比増ですが、数量は減少、製品価格が二桁増加とよく似た状況であると言えます。為替、M&Aなどで差はありますが、根幹の商売では似た状況と言ってもよいのではないかと思います。
一方、原料高騰についても両社はよく似た状況と言えます。
両方のグラフは表現の仕方が違いますので定量的な比較が難しいようにも見えますが、ポイントは両社とも2021年の第1四半期から2022年第3四半期の累積の原料高騰という数値が共通して表示してあり、PPGが19億$、AkzoNobelが17億€とこれもよく似た数値になっています。
2021年の第1四半期から2022年第3四半期の累積の売上高は、PPGが291億$、AkzoNobelが181億€(手元の数値で計算)でしたので、それぞれの売上高に対する原料高騰分の割合は、PPGが6.5%、AkzoNobelが9.4%とAkzoNobelの方が大きな影響を受けていると推測されます。
AkzoNobelは原料高騰と製品価格の推移を比較して提示しているのでこれも参考になります。
この二つのグラフ左の原料高騰は金額、右の製品価格値上は%と異なる数値で書かれているのですが、これもその上のグラフと同様、2021年の第1四半期から2022年第3四半期の累積の原料高騰という数値が共通して表示してあり製品値上げの累積値が17億€とあり、原料高騰と全く同じであることがわかります。つまり2021年以降の原料高騰分はしっかりと製品価格に上乗せしたということになります。
AkzoNobelの第3四半期の原料高騰は279百万€、製品価格値上は316百万€で、製品値上が原料高騰を上回りました。これは3四半期連続とのことでした。
ここまで塗料メーカーを苦しめてきた原料高騰ですが、そろそろ潮目が変わる時期に来ているようです。この図のタイトルは「原料価格サイクルが転換点にきていることの初期のサイン」となっています。