かんとこうブログ
2022.12.16
カーボンプライシングについて
昨日、経済産業省から、カーボンプライシングの導入時期などに関する案が14日に開かれた審議会で承認されたと発表されました。この頃耳にすることが増えたこのカーボンプライシンング制度についてまとめてみました。
要旨は下記のNHKサイトから引用します。
二酸化炭素「排出量取引」2026年度開始へ 経産省案を了承 | NHK | 脱炭素社会への動き
「それによると「排出量を削減した分を市場で売買する「排出量取引」を2026年度に本格稼働させるほか、化石燃料の利用が多い電力会社に対しては、2033年度から段階的に有償で排出枠を割り当て、負担を求める。さらにさらに化石燃料を輸入している石油元売り会社や商社などにも「賦課金」として一定の負担を求める制度を2028年度から導入する」としています。これら徴収したお金は、政府が脱炭素への後押しをするための新たな国債の償還費用に充当するそうです。」
ここで「排出量取引」と「賦課金」という二つの言葉がでてきましたが、このように炭素に価格をつけることをカーボンプライシングと言い、それにより排出量を削減しようという意図に基づく政策です。
カーボンプライシングにはこのほかにも種類があるとされています。(野村証券サイト(下記リンク先)より引用)
カーボンプライシングの基礎知識 | Nomura (nomuraholdings.com)
今回の「排出量取引」では排出量を指定し、それを達成できなければ有償で不足分を買い取る義務が生じます。一方で「賦課金」は、化石燃料の輸入者に負担を求めるものとのことですから、「炭素税」というよりはエネルギー課税に近いものと思われます。この「賦課金」が、化石燃料そのものではなく、そこから排出される二酸化炭素の量に対して課税されるのであれば「炭素税」となります。
以下「排出量取引について」もう少し詳しく説明します。(以下のリンク先からの引用)
「排出量取引」においては、排出量よりも低く設定した排出量の上限を国が企業に割り振ります(左図)。もし、割り振られた上限よりも排出量が低かった場合には、余った分を他の企業に売ることができます。逆に超過した場合にはその分を購入した補填しなければなりません(右図)。電力会社に対してはこの「排出量取引」が2033年から段階的に導入されることになったとうのが今回の発表です。
OECDによればこうした「カーボンプライシング」は、2021年9月現在で46の国と35の地域に及んでおり、取引価格は二酸化炭素1トンあたり6500円程度とされています。(2021年9月現在の情報)
日本もすでに「炭素税」については、地球温暖化対策税と言う名前で、石油石炭税に上乗せする形で始まっており、二酸化炭素1トンあたり289円となっています。この価格はヨーロッパに比べると随分と安い価格と言えます。(下図)
いずれにせよ、日本としては2050年にカーボンニュートラルを宣言した以上、約束通り二酸化炭素を削減していく義務があります。これから様々な形での環境圧力が強まることは必然であり、すべての国民の意識と行動が変化することが求めらるものと思われます。