かんとこうブログ
2023.02.14
2023年3月期第3四半期上場会社の決算状況
2月13日に主要な国内上場塗料会社の決算が出そろいましたのでその概要をご紹介したいと思います。なお日本ペイントの2022年第4四半期ならびに通年決算については本日午後発表予定ですので、明日にでもご紹介する予定です。
ここに集計した12社の第3四半期の決算(第1~第3四半期までの累積)はひとことで言えば増収減益傾向でした。以下の一覧表をごらんください。
字が小さくて恐縮ですが、売上は前年比黒字の会社が多く、営業利益以降は前年比赤字の会社が多いことはすぐにわかると思います。世界的にも増収減益傾向ですので、日本市場もその傾向と動きを一にしているとも言えます。それぞれの会社のセグメント別状況についても、決算短信に記述のある範囲で書いておきました。
売上高前年比についてはほぼ100~120の範囲に収まっていますが、その程度は海外比率と汎用/工業用比率で整理することができるように思われます。すなわち海外比率が高い会社ほど、また工業用比率の高い会社ほど売上増加幅が大きいように思えます。
中国塗料に関してはここ数年、一年おきに利益幅が大きく変動しています。船舶塗料市場は市況が大きく変動するこ都が知られていますが、果たしてそうした影響なのか、はたまた個社独時の事情なのかは測り知れませんが、とにかく規格外の変動幅ですので、一線を画してみるべきかもしれません。
各社の四半期毎の営業利益の推移を見ると、かなり四半期毎に変動していることがわかります。
上の図から明らかなことは、第1四半期と第3四半期が好調であるのに対し、第2四半期は苦しんだ会社が多いということです。エスケー化研、大日本塗料、イサム塗料といった会社が四半期ごとの営業利益の差が少ないのに対し、藤倉化成、日本特殊塗料、菊水化学工業、アサヒペン、アトミクスといった会社が四半期ごとの営業利益の差が大きくなっています。藤倉化成と日本特殊塗料の場合には自動車関係の比率が高いことが共通していますが、菊水化学工業、アサヒペンはそれぞれ建築用、家庭用比率の高い会社ですので、一概には言えませんが、主たる需要分野の需要動向と個社の事情との複合要因で変動しているものと思われます。中国塗料は第1四半期の不調から回復しています。やはり船舶市場は特殊なようです。
第3四半期までの各社の売上高/営業利益前年比のマトリックスにおける位置取りは下図のようになります。
会社名の矢印は,第2四半期までのポジションからの移動の方向を示しています。矢印がない会社は第2四半期までのポジションから移動していないことを示しています。上述したように営業利益の第2四半期の低調から第3四半期の好調への動きを受けて、全般に上方移動した会社が多く見受けられます。
しかしながら第3四半期までの営業利益率だけでグラフを描くと、汎用/工業用比率の影響は売上高とは逆のように思えます。営業利益率の高い会社は、エスケー、イサム、関西ペイント、アサヒペン、大日本塗料、ロックペイントの順になり、関西ペイントを除けば汎用品比率の高い会社が並んでいます。
最後に2023年3月期の期末における売上高前年比を示します。今回は2社が変更しましたが大きな動きはありませんでした。もはや3月期まで残り1月半となりました。昨年は2月下旬にウクライナ侵攻が起きました。今年度が平穏に終わってくれることを祈ります。