かんとこうブログ
2023.03.01
苦難続く国内メーカーの自動車生産・・2023年1月
2月27日に国内自動車メーカー8社から2023年1月度生産台数の発表がありました。この詳細をお知らせしますが、概要については以下のマスメディアの見出しを見ていただければおおよそ理解されるのではないかと思います。半導体不足に苦しみ2022年まで4年連続で生産台数が減少を続けている日本メーカーの自動車生産ですが、2023年1月も苦しいスタートとなりました。台数データは各自動車メーカーのサイトから直接収載しています。
2023年1月の国内および世界生産台数についての前年同月比、前々年同月比を下図に示します。
前年同月比が100%を超えたのは、国内生産台数ではトヨタ、日産、三菱、ダイハツ、スズキの5社、世界生産台数ではトヨタ、ダイハツ、スズキの3社でした。前々年同月比が100%を超えたのは、国内生産ではトヨタ、三菱、ダイハツ、スズキの4社、世界生産台数ではダイハツ、スズキの2社のみとなりました。
コロナ禍が始まった2020年以降、こうした前年同月比が客観的な指標の意味を失いつつあり、特に半導体不足に苦しむ自動車の生産においては、前年同月比が100%を超えることが必ずしも順調な生産を意味しなくなってきています。もう少し俯瞰性の高い見方をするため、2023年1月の生産台数を過去4年間の平均月間生産台数と比較してみました。下図に示します。
過去4年間の月平均生産台数を縦棒で示し、2023年1月の生産台数を黒い横方向の点線で示しています。2019年からの4年間の月平均ですから2020年以降は決して高い水準ではないのですが、それでも2023年1月の生産台数は、スズキを除けば決して高い水準とはいえないことがお分かりいただけると思います。冒頭の見出しにもあったように日産、ホンダ、スバルの生産台数は過去4年と比較して、国内・世界とも最低レベルにあります。
ここでもう一度先月ご紹介した各メーカーの月平均生産台数の過去4年間(暦年)の推移を示します。長らく続いているコロナ禍によって、コロナ禍前の水準がわかりにくくなっているのではないかと想像しています。先月の繰り返しになりますが、国内生産では2019年の水準に戻っているメーカーは1社もありませんでした。世界生産台数ではトヨタとスズキが2019年の水準に戻っていましたが、他のメーカーはまだ回復半ばという状態でした。
今回の2023年1月はこの延長線上にあるということを理解すれば、前年同月比や前々年同月比の数値が100を超えたことにどれほどの意味があるのかと考えざるを得ません。もう少し志の高い指標を考えた方が良いような気がします。
最後に各社の生産台数の推移をグラフで示します。これは相対値ではなく絶対値ですのでそのまま比較していただけますが、スペース制約から3年間の表示としています。一応4年分の月平均台数のレベルを表示していますので現在の生産台数が、この4年の中でどのような水準なのかはわかるようにしております。個別のコメントはいたしません。