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かんとこうブログ

2023.03.07

法人企業統計調査について・・その1

財務省の調査で「法人企業統計調査」というものがあります。全国90万社のデータを網羅しているスゴイ統計のようですが、いままであまりなじみがなかったのでご紹介したことがありませんでした。今日と明日の2日間はこの3か月に一度発表される法人企業統計調査についてご紹介したいと思います。

この調査、とにかく母集団が極めて大きいので①企業規模別の差異②業種別差異についてかなり詳細なデータを調べることが可能と期待できます。今回発表になったのは2022年度第3四半期(10~12月)のデータですが、企業規模別については資本金別に整理されて、貸借対照表と損益分析表が提供されています。このうち、損益分析表の部分を以下に示します。(売上高に対する各費目の割合を計算するため。一部表を加筆しています。)

規模別の分類は資本金別で、5段階に分類されておりそれぞれのグループごとの損益が示されています。日銀短観でも企業規模別の景気動向が示されますが、この法人企業統計調査では単なる景況感ではなく、損益が示されますのでより具体的な経済動向の把握が可能になるのではないかと思われます。

企業規模別の動向について、①売上高原価率%、②販管費比率%、③営業利益率%、④経常利益率%、⑤人件費比率%、⑥従業員一人あたり売上金額 の図を示します。

上図のうち、①原価率、②販管費比率、⑤人件費比率、⑥一人あたり売上高については、ほぼ企業規模別の傾向を示しています。このうち①売上原価では小規模企業の原価率が顕著に低くなっており、②販管費比率や⑤人件費比率の高さをカバーする形になっています。その結果、③営業利益率と④経常利益率の製造業は小規模企業の数値が結構高く、企業規模と単純な関係にはありません。こうしたところが面白いと思います。

さて、こうやってある時期一回分の損益分析表を見ても、はたして現在の状態がよいのか悪いのかわかりませんので、過去にさかのぼって推移を見ることにしました。政府関係の統計にしてはめずらしく1年分の過去データが提供されているのですが少し物足りないので自力で付け足して2年分の推移を調べてみました。まずは母集団全体に対する解析結果です。

左上が総売上高の推移です。これを見ると2021年の第1四半期(青い三角)と2022年の第2四半期(赤い三角)の売上高が前後に比べて落ち込んでいるようですので、売上高の推移と①原価比率から⑤の人件費比率までの各費目の推移とを比較してみました。

売上高のおちこみと②販管費比率と⑤人件費比率は相対的に高くなることは傾向的に一致していますが、①売上原価比率はむしろ下がっています。母集団全体は製造業も非製造業も含まれていますが、製造業の場合には売上高がおちる⇒製造数量が低下する⇒固定費比率があがる⇒原価があがる⇒原価比率があがる、となるはずなのですがむしろ逆になっています。さらに不思議なこと③営業利益率と④経常利益率も上がっています。これは①原価率が下がっているのである意味当然ではある②ですが、①原価比率が下がっていることがどうにも理解できません。

同じことを企業規模別でもやってみました。母集団は先ほどと同じ全体企業が対象あり、製造業と非製造業は区別していません。

規模別の各費目推移では、さらに全体の売上金額のおちこみとの関係がよく見えなくなってしまいました。ただし、①売上原価比率②販管費比率③人件費比率の規模別の影響は明確でその傾向に変化はありませんでした。

あすは「法人企業統計調査」の中の業種別の売上高、営業利益率の推移をご紹介します。

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