かんとこうブログ
2023.03.20
塗料はこの2年間でどのくらい価格が上昇したか? 経産省確報データからの計算値
先週金曜日に経産省確報2023年1月における各塗料種別の価格指数の推移をご紹介しました。この価格指数はどのように計算しているかというと各塗料種別の出荷金額を出荷数量で割って平均単価を出し、その平均単価を2021年1月の平均単価で割っているのです。従ってその月の各塗料種別の平均単価が先に判明しているわけですが、指数の方が横並びで比較するのに都合がよいため、これまではその数値をご紹介してきませんでした。
この度ちょうど2021年1月から数えて2年分のデータが得られましたので、各塗料種別に2年間でどのくらい平均単価が上昇したのか数値でご紹介しようと思います。主要12品目の毎月の平均単価の推移を以下に示します。単位はすべて円/Kgです。縦軸の最大値と最小値はそれぞれの塗料種の平均単価によって違いますが、最大値と最小値の差は同じにしてありますので、見た目の傾きが大きいものほど値上がりが大きいということになります。
一次式近似で傾きを出しておきました。この傾きが毎月の平均価格の上昇金額を示しています。例えばアクリル(樹脂)塗料焼付タイプであれば毎月約2.7円づつ上昇したということです。こうした毎月の平均単価の上昇金額は塗料によって差がありますが、この毎月の平均単価=単価指数X基準平均単価ですから、塗料の値段が高いか安いによっても影響を受けます。シンナーのように単価指数の上昇幅が大きくても平均単価が比較的低ければ、平均単価の上昇金額がそれほど大きくなりません。
2021年1月から2023年1月までの2年間で①月平均単価指数の上昇値(/月)②月平均単価上昇値(円/月)③平均単価上昇金額(円」/Kg)を一覧表にした上でグラフ化しました。
①平均単価指数の上昇値ではシンナーが最も上昇率が大きくエポキシ樹脂塗料がそれに続いていました。しかし、この両者は比較的単価が低いので②実際の平均単価の上昇率という点では、アミノアルキド塗料が最も上昇率が高いという結果でした。単価指数の上昇率の順位と平均単価の上昇率の順位は必ずしも一致しません。最も平均単価の上昇率が低かったのは路面標示用であり、これは路面標示塗料の平均単価が他の塗料に比べ著しく低いためです。表中の数字は①②ともグラフの近似式の傾きから求めています。
そして、③平均単価金額の上昇が最も大きかったのはアミノアルキド塗料で129円上がりました。次いでアクリル樹脂塗料常温乾燥タイプ、エポキシ樹脂塗料、アクリル樹脂焼付タイプ、ウレタン樹脂塗料、溶剤系塗料全体合計が100円/Kgから100円/Kg弱という感じで続きます。この平均単価の上昇幅は、2023年1月の平均単価から2021年1月の平均単価を引き算してもとめています。
経産省の統計には、同業者向け出荷分も含まれておりこの同業者出荷量は決して少なからぬ量ですので、実際のユーザーへの出荷金額がもう少し高くなっているかもしれません。先週金曜日の単価指数の上昇具合と合わせて見ていただければ、塗料価格動向把握の一助になるのではないかと思います。