かんとこうブログ
2023.03.24
塗料のGHG排出原単位は2.30t-CO2eq/t !
塗料のCO2排出量の原単位は2.30t-CO2eq/tを使って計算することができます。今さらですが、環境省の資料の中にこのように書かれています。今年の2月8日と9日に「環境省のグリーン・バリューチェーンプラットフォームのガイド」という表題で環境省のホームページに掲載されている二酸化炭素排出量算定のためのガイダンスについての解説記事を書きました。この中に塗料の排出量は冒頭の数値を使って計算してもよいと書いてあったのですが、それを特別に取り上げてお知らせしていませんでした。
実は2月にご紹介した環境省のガイダンスですが、すでにリンク切れになっており、調べたところ今年の3月16日に新たなサイトができておりそちらに移ったようです。新しいサイト接続先を下に示しておきます。内容はほとんど変わっていないようです。
排出量算定について - グリーン・バリューチェーンプラットフォーム | 環境省 (env.go.jp)
さて話を元にもどして、なぜ塗料の原単位が示されていることで大騒ぎをするのかというと、これまでこうした代表的な数値が公になることがなかったからです。原単位のデータベースとしては、産総研などが開発したIDEAというものがあるのですが、これは高額なライセンスフィーを払わなければ使うことができず、このデータベースを使って計算した値は公表してもよいが、計算に使用した原単位は絶対に公表してはならないという厳しい条件がついているからです。
塗料については(一社)日本塗料工業会が、算定マニュアルを作成していますが、そこには計算方法は書かれていても原単位はもちろん計算した結果の排出量についても具体的なCO2排出量は書かれていません。従って、塗料は一般にどのくらいの二酸化炭素を排出しているかと聞かれても、公的な値として示せるものがありませんでした、と少なくとも私はそう思っていました。ところがちゃんと環境省のホームページに載っていたわけです。その掲載箇所は、さきほどの接続先のひとつである詳細資料4の代表的なカテゴリーの算定方法のP61(下図)に記載があります。
SC_syousai_04_20230301.pdf (env.go.jp)
この原単位には、①物量ベースと②金額ベースの二種類があります。金額ベースでは百万円購入したらどのくらいのCO2排出量になるのかが書かれていますので、概算には便利です。ちなみにこの①と②の関係から計算すると百万円で購入できる塗料の量は生産者価格で2.73トン、購入者価格で2.17トンとなり、単価は生産者価格では366円/Kg、購入者価格では461円/Kgとなります。
さらにこの環境省のサイトでは、環境としてのデータベースも備えてあり、このデータベースでもIDEAほどではありませんが、いくつかの物質の原単位が掲載されています。(下図)
エクセルファイルのデータべースとPDFファイルのその使用法をセットとして使用するように推奨されており、簡単にダウンロードできます。エクセルファイルの環境省データベースの中に産業関連物質の原単位のシートもあり以下のような物質の原単位が載っています(下図)。
残念ながら塗料関係はせいぜいこんなもので、塗料配合から二酸化炭素排出量を計算するには全く物質数が足りませんが、多少の参考にはなります。どういうことかといえば、塗料製造時までのCO2排出量は、原材料由来のものがほとんどであるということが広く定説となっていますので、上表を見ても概ね塗料の排出量である2.30t-Co2eq/tに近い数値がならんでおり、樹脂の種類が違ってもそれほど大きくは変わらないであろうと推測できそうだということです。
またこのほかIDEAについても、環境省経由で申請すれば古いバージョンであるIDEAv2を無償で使用できると書かれています。このIDEAv2は最新ではありませんが、収録データ数としては最新のものとそれほどかわりませんので、もしIDEAv2をそのまま使えるのであれば塗料の排出量計算において大きな助けになると思われます。
以上環境省が新しくリリースしたプラットフォームについてご紹介しました。