かんとこうブログ
2023.04.04
製造業と非製造業で明暗・・・日銀短観2023年3月調査結果
昨日、日銀短観が発表になりました。この日銀短観が発表されるといつもマスコミがその景況感を報じていますが、今回は以下のような見出しが付けられていました。いつもは大企業VS中小企業という形で二極化するケースが多いように思いますが、今回は製造業VS非製造業の形で二極化をしているようです。
3月の調査結果はどうだったのか?・・以下に1983年から2023年までの製造業と非製造業のDI値の推移を、大企業/中小企業の比較とともに示します。赤丸部分が最新値です。
上が製造業、下が非製造業ですが、ここ1年ほどは見事に製造業は下降傾向、非製造業が上昇傾向と二極化しています。大企業と中小企業のDI値の差は、好況期には20前後またはそれ以上にもなることがわかります。不況期にはその差が縮まるとは言え逆転することはありません。
今回の日銀短観の発表をうけてマスコミがつけた見出しには、「製造業では悪化、非製造業では改善」という論調が多かったと思いますが、そうなった原因は、やはり原材料の高騰と価格転嫁の進捗がはかばかしくないことにあると推定されます。中小企業でも製造業/非製造業の動向は大企業と同じであり、DI値でこの1年あまり製造業の方が上にあったのが昨年半ばから逆転しました。(下図)
中小企業では、非製造業がやっと水面に顔を出しましたが、製造業はなかなか水面上に顔をだすことができずにいます。 (右端赤丸内)
以上が全体の傾向ですが、塗料と関連のありそうな業種別のDI推移について、これまでと同様リーマンショック時と比較して示します。コロナ禍のグラフの右端は、2023年6月の予想値なので色を変えてあります。それでは製造業から示します。
2023年3月(今回発表)の時点で水面上に顔を出しているのは、金属製品、造船重機くらいであり、あとは昨年から下降傾向が止まりません。また自動車はなかなか本回復に至りません。リーマンショック時との比較においては、全体にリーマンショック時よりもDI値は上方で推移していますが、それもここへきて怪しくなっています。続いて非製造業です。
非製造業は昨年までは二極化しており、不動産、建設、通信が好況、小売、運輸、宿泊・飲食が不況と分かれていまししたが、ここへ来て全体的に水面上に顔をだそうかという様相です。リーマンショック時との比較では、ずっと飲食・宿泊が下位にありましたが、小売とともにここ半年ほどは上回ってきており改善傾向にあります。