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かんとこうブログ

2023.06.13

業種別にみた企業のCO2排出量算定事例 その1

環境省のグリーン・バリューチェーン・プラットホームというサイトに、企業や団体がCO2の排出量を算定するための詳しいガイドが載っていると以前にご紹介しました。今回は、同じサイトに掲載されている実際の企業の算定事例についてその概要をご紹介したいと思います。(下記接続先参照ください)

取組事例 - グリーン・バリューチェーンプラットフォーム | 環境省 (env.go.jp)

各論に入る前に結論を言えば、「各企業のCO2排出量は、その会社の提供する製品とサービスの種類によって決定づけられる」という、極めて当たり前の原則が当てはまること言うことになります。

今日は、各業種のScope1、2,3の割合について、明日は多くの企業で最も比率の高かったScope3の内訳についてご紹介していきたいと思います。ご紹介する会社は上記サイトで自主的に算定事例を公開している30社あまりです。

Scope1、2、3については、もう改めてご紹介する必要がないほど周知化していますが、念のために上記サイトの図を示します。簡単に言えば、Scope1が自社で消費する燃料の燃焼から発生するもの、Scope2が自社で利用する電気の利用に基づくCO2の発生、Scope3が自社のサプライチェーンの上流、下流で発生するCO2です。

このScope1、2,3の割合は業種によって大きく異なります。典型的な例からご紹介しましょう。

左の運輸、輸送はScope1または2が圧倒的に多い業種です。近畿日本鉄道では電力の消費によるCO2が、日本郵船(海運)と日本航空では燃料の燃焼によるCO2が圧倒的に多くなります。運輸業である佐川急便はそれらに比べるとScope3が非常に多くなっていますが、佐川急便のScope3の内訳は、実質的に運送や配送に関わるものがほとんどであり、他の輸送業と同様、輸送のための電力または燃料の消費に基づくものです。

中央の自動車製造や家電・電機は、左の運輸・輸送とは全く異なり、Scope3の排出が圧倒的に多くなっています。そしてこのScope3内訳は、Category11の製品の使用がほとんどです。すなわち自動車走行による燃料(または電気)、家電、電気製品の使用による電力の消費に起因するものが全体の排出量のほとんどを占めるということです。

さて、これ以外の業種はという実は上でご紹介した3業種ほど極端な業種はありません。ほとんどはScope3が過半数を占めるという結果でした。結構似通っているとも言えます。順番にご紹介しましょう。

左の化学ですが、Scope1とScope2合計はおおよそ10~40%になっています。(富士フィルムのScope1は実際にはScope1とScope2の合計値です) 随分差があるとも見えますが、この差は実は生産している製品が基礎化学品なのか最終製品なのか、あるいは下流において製品の廃棄によるCO2を排出するかどうかによって大きく異なるようです。詳しくは明日のScope3の内訳のところでご紹介します。

印刷・建材関係ですが、もともと全く異なる業種を一緒にしているので、たとえScope3の割合が似通っていてもScope3の中身が異なっています。ヤマハではCategory11の製品の使用によるCO2の排出が多くなっています。ここも詳しくは明日ご紹介します。

小売業では、Scope3が80%以上を占めていますが、そのScope3の内訳はそのほとんどが、店舗で販売している購入商品に由来するものです。

非鉄金属では、燃料に比べて電気をたくさん利用することがわかります。いずれもScope3では購入した製品(アルミの地金)の割合が非常に高くなっています。食料・飲料もScope3の比率が高いのですが、Scope3の内訳で見ると輸送・配送で他業種と比較して多くのCO2を排出しているようです。(三井製糖のScope1はScope1とScope2の合計値です)

製薬と繊維も全く異なる業種なのでScoep3の内訳が異なっていますが、明日説明します。建設・住宅については、これらの会社におけるScope3ではCategory11の製品の使用によるところが多くなっています。

こうして見てくると多くの企業では、Scope1,2よりもScope3の排出量が圧倒的に多いようです。自社内の排出よりも上流・下流における排出がずっと多いということですので、自社内だけでなく、サプライチェーン全体を見渡しての削減を心掛ける必要があると言えます。明日は、各社のScope3の内訳について説明します。

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