かんとこうブログ
2023.06.29
今年も節電要請は出ているようですが・・・
いよいよ本格的な夏を感じる今日この頃ですが、去年の今頃は電力不足がさかんに言われ、連日節電要請が聞こえていたことを思い出しました。今年はあまりそうした声が聞かれませんので、この夏の電力需給見通しについて調べてみました。(実は昨年の6月28日に温度湿度と電力使用量の解析結果を紹介しています。下記接続先)
気象条件と電力消費量の関係について | かんとこうブログ | 関東塗料工業組合 (kantoko.com)
経済産業省が6月9日付で「2023年度夏季の電力需給対策」というのを出していまして、それによりますと、東京電力管内だけは、ことしも電力不足に陥る可能性があるので、できる範囲で節電に努めてほしいというのが結論になります。「電力需給に関する検討会合」なる会合が発表しているパンフレット(下記接続先)の一部をご紹介します。
20230609009-2.pdf (meti.go.jp)
まず去年盛んに言われていた予備率の見通しです。予備率が3%を下回るとブラックアウトの危険性があるとのことですが、10年に一度の暑さを想定した場合には、東京電力では3.1%と厳しい数字になるということのようです。東京電力以外は、そうした状況にはないのでひとます安心のようです。
では具体的にどんなことが要請されているのかというと、下記の内容です。正直に言って迫力に欠ける要請であり、昨年とは大違いです。「無理ない範囲でやってくださいね」という感じです。
予備率が3%を下回りそうだというのは、あくまで7月が10年に一度の暑さの場合という条件つきですので、まずここで切迫性がダウンしてしまいます。
今年と去年の6月の日間最大電力使用量と予備率、気象状況について調べてみました。節電要請が姦しかった昨年と今年で少しは違いがあるのかどうかということを確かめようと思ったからです。
青線が今年、赤線が昨年です。左から日間最大電力使用量、その時の供給能力、その時の電力使用率のグラフです。予備率は100から電力使用率をひいた数字ですから、6月では、今年も昨年も余裕でクリヤーしているということになります。
最大使用時の電力使用率はことしの方が高めに推移しています。つまり予備率が少なくなっています。それでは今年の方が、節電を気にせずに使っているのかと思えば、日間最大使用電力量(左のグラフ)についてはあまり差はないように思えます。むしろ、昨年の方が供給能力を高めに確保していたように見えます。
今年と昨年の気温と湿度を見ても大きな差があるようには見えません。(下図参照)
となるとここまでのところでは、今年の方が、需給管理がうまくできているということかもしれません。
6月はまだまだ気温がそれほどではありませんでしたので、最大電力使用量が4000万KW前後の数値が多い状況でした。まだまだ十分に余裕のある状況でのオペレーションということになります。
昨年の7月後半、8月前半における最大使用量は5930万KWであり、その時の供給能力が6442万KW、予備率は8%でした。果たして盛夏のピーク時にどれほどの供給能力が準備されているのかわかりませんので、本当に逼迫した状況が起こるのかどうかはわかりません。節電を要請するとすれば、こうした数字を明らかにして要請をした方が良いのではないかといつも思っています。