かんとこうブログ
2023.08.24
ワニの口は少し閉じてきたか?・・業況観測アンケート7月の結果
一昨日日塗工から、7月度の業況観測アンケートの結果を受領しました。組合員の皆様にはすでに結果をFAXでご報告していますが、例月のようにここでは別の角度からその結果を眺めてみたいと思います。
最初に昨年7月から1年間の各需要分野別推移の一覧表です。経産省確報における出荷数量と出荷金額の前年同月比の数字もあわせて表示しています。
数字が小さくて恐縮ですが、7月は前年同期比が数量・金額とも100を超えました。これは5月以来2か月ぶりです。
昨年来、ずっと前年同月比において数量と金額の乖離が続いていますが、ようやく少しワニの口が閉じかけてきた感があります。
経産省確報の方は6月までの結果しか発表されていませんので6月の結果までですが、業況観測アンケート、経産省確報ともほんのわずかではありますが、数量と金額の乖離が狭まってきている感じがあります。
この現象が生産数量が増加することで起きていればよいのですが、7月の数量の前年同月比は100超えでしたが、12か月の移動平均でみるとまだまだ数量は減少の一途を辿っています。大きな回復には至っていないということです。(下図)
需要分野別の前年同月比の推移は日塗工の業況観測アンケートに記されている通り(下図)、おおまかには2020年の大幅落ちこみと2021年の大幅回復に続き、2022年、2023年と小幅の増加を示していますが、それはどうも実感とは合わない気がしています。
つまり前年同月比のマジックではないかということです。そこでこのところ計算しているのが、2018年の各月を100として、それ以降の年の同じ月をどんどん掛けていく(下式)というものです。
2023年7月の指数=2019年7月の前年同月比X2020年7月の前年同月比X2021年7月の前年同月比X2022年7月の前年同月比X2023年7月の前年同月比/(100^4)
理論的には正しいと考えられますが、問題は各月のばらつきが大きいことです。ただこのところ割合と安定してきていますので、参考までにご覧いただきたいと思います。それぞれのグラフの2023年の数値は単なる前年同月比ではなく、それまでの前年同月比を累積したものであり、各月の現在の2018年に対するポジションを表していると考えられます。
1月から3月までと4月から7月までの様相が全く異なることがわかると思います。しかしながら、赤い実線で表した全体の前年同月比の累積値はすべての月において100を超えました。これは2018年の各月の金額を2023年の各月が上回っていることを示しています。また需要分野別に見てもこれまでの4~7月には大きく落ち込んでいた自動車用塗料も2023年は20018年の水準を超えてきました。木工用が少し苦戦をしていますが、それ以外の需要分野はいずれの月も2018年の水準を超えてきたと言えるでしょう。ただし、これは金額の話であり、数量はデータがないのでわかりません。需要分野別のデータはどこにもないので仕方ありません。
原材料価格も高止まり傾向にありますので、いずれ前年度との製品単価差がなくなれば乖離した数量と金額はこの先近づいていくものと考えています。