かんとこうブログ
2023.08.31
自動車生産の本格回復はまだら模様?
昨日日系の自動車製造大手8社から8月度の販売台数と7月度の生産台数が発表になりました。これに対する報道各社の見出しは以下のようでした。
6月の生産台数の発表の見出しに比べると、少しトーンダウンしており、2番目の見出しにあるように、国内は二けた増でしたが、海外が6%減で、世界生産としてはわずかにプラスとなったようです。昨年の今頃はまだ半導体をはじめとした部品不足の影響で生産が低迷していましので、それを考えると世界生産の前年同月比がわずかにプラスというのは素直に喜べない気もします。
ただし、このあたりの状況は会社によってかなり異なるようですので、7月の生産台数について各社の前年同月比、前々年同月比を見てみたいと思います。
国内生産ではホンダとダイハツが前年比割れとなりました。ダイハツが特に大きな落ち込みですが、これは主要サプライーの事故による部品供給の停滞が原因とのこと。一方、世界生産は、スバルを除き、いずれも国内生産よりも前年比の値が低くなっており、海外の生産が国内に比べて順調でないことを示しています。
なお、前々年比と前年比を比較すると、トヨタとダイハツ以外は、前年同月比の方が小さい数字になっており、2021年の方が2022年よりも生産が落ち込んでいたことを示しています。いずれにしても、5月の生産はすべての会社で前年比がプラスだったのに対し、6月7月とも前年比がマイナスの会社が散見されており、回復も順風満帆というわけにはいかないようです。
7月の生産台数を過去4年間の月平均と比較したのが下図です。
分かりやすいところからいくと、トヨタとスズキが国内、世界ともコロナ禍はもちろん、コロナ禍前の2019年の月平均を超えています。もうコロナ禍前にもどっているということです。逆にダイハツは国内、世界ともサプライヤーの事故によりコロナ禍の月平均を下回っています。
残りのメーカーについては、国内生産においてはコロナ前超えがスバル、コロナ禍超えが日産、マツダ、三菱、ほぼコロナ禍超えがホンダとなっています。一方、世界生産においてはコロナ前超えがスバル、コロナ禍越えがマツダ、三菱、コロナ禍レベル以下が日産、ホンダとかなりばらついた状態になっています。本格的な回復にはまだもう少し時間がかかるのかもしれません。
最後に各社の生産台数実数の推移を示します。グラフ内4本の点線は過去4年間の月平均生産台数です。
トヨタは国内、世界とも順調、日産は国内順調、世界苦戦、ホンダは国内、世界とも苦戦と見えます。
スバルは国内、世界とも順調、マツダは国内、世界ともコロナ禍超え、三菱は国内は順調、世界が苦戦というところでしょうか?
ダイハツは国内、世界とも苦戦、スズキは国内、世界とも順調です。