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かんとこうブログ

2023.09.06

遅まきながらのSDGsランキング2023 その1

昨年のSDGsランキングは5月に発表されましたので、今年も同じ時期かと思い5月にずっと待っていましたが、「今年は少し遅れる。原稿を各国に送付し意見を聞いた上で9月頃に発表する」というようなことが書いてありましたのでのんびり構えていましたが、昨日検索してみたら何と6月に発表(下記URL)になっていました。なんとも間の抜けたことですが、重要なことではありますので、遅まきながら今日と明日の2日間にわたり詳しく私なりの視点で解説することにします。

https://s3.amazonaws.com/sustainabledevelopment.report/2023/sustainable-development-report-2023.pdf 

   

まずは気になる日本の順位からです。

今年の日本の順位は21位でした。昨年の19位から落ちて初めての20位台と報道されていたようですが、スコアも前年から0.2下がって79.4でした。とは言え、昨年同様、日本より上位の国はずべてヨーロッパの国であること、従ってヨーロッパ以外では世界のトップであることは変わりありません。

良く知られているようにSDGsには17の目標が掲げられており、その目標毎に達成度が評価されています。ことしの17の目標に対する日本の達成度は以下のようでした。

17項目のうち、前年から変化があったのは3項目、前進したのが17のパートナーシップ、後退したのが8の働きがい/経済成長と16の平和と公正でした。このうち前進した17のパートナーシップについては、細目のいくつかで前進があったと評価されたものですが、後退した2項目においては、わずか1つの細目の評価が低下したため全体の評価も下がってしまったようです。

すなわち、SDG8においてはGDP成長率がマイナス3%であった(2021年)こと、SDG16においては報道における自由の指数が低下したことがその理由と推測されます。他の細目で後退した部分はありませんので、マイナス評価をされるのは、この2つの項目だけのはずです。2023年のランキングにおいて2021年の成長率を使用するのかという疑問もあろうかと思われますが、これは提供されている最新の数値を使用することになっているはずで、数字が古いことについては提供する方にも問題があろうかと思います。

次にかなりの紙面をさいて報告されていたコロナ禍の影響についてご紹介したいと思います。

左図はSDGスコアの世界平均、右図は低取得国の平均です。左図と右図では縦軸の数値が大きく異なっており、低所得国の平均は世界平均を大きく下回っています。注目してもらいたいのは、2020年以降の部分であり、コロナ禍前の傾向を引き継いだとして書かれた点線と実際の実勢値が大きく乖離していることです。言うまでもなく、コロナ禍により、経済は大きな停滞を余儀なくされましたが、その影響はSDGsの進展にも大きな影響を与えていることを示しています。さらにこの左図と右図を比べてみると、目盛りの間隔が異なるにも拘わらず、世界平均と低所得国平均の傾きが同じように見えます。目盛りの間隔は左図が右図の2倍ほどありますので、SDGsの進展スピードに大きな差があるとうことであり、その差が拡大し続けていることになります。

そのあたりをもう少しわかりやすく表した図があります。2015年から2022年にかけて、高所得国と低所得国のSDGスコアの差はわずかに縮まりました。しかし、現在までの傾向がそのまま継続されれば2030年にはその差が拡大してしまうと予測されています。一方で、コロナ禍前の傾向が続いたとすれば、その差は縮まるであろうという予測なのです。言うまでもなくこのSDGの理念は2030年までに地球上のすべての人が、誰一人として落ちこぼれることなく目標を達成できていることですので、所得による格差の是正は必須要件であり、より一層のパートナーシップが求められることになります。

コロナ禍の影響を表す指標をもう少しご紹介します。自分で自分を幸福と感じる人の割合、および失業率について2015年から2022年/2023年にかけての推移です。低所得国と高所得国の差と時系列的変化の両方が合わせて解析可能です。

幸福と感じる人の割合については、まず所得によって大きな格差が存在しています。さらにコロナ禍を経ていずれの場合も幸福と感じる人の割合は減少しています。一方失業率については、2015年においてむしろ高かった高所得国の失業率は、2019年以降改善され、低所得国よりも低い水準になっています。ここでもコロナ禍は弱い立場により大きな影響を与えているようです。

2023年は2016年から開始されたSDG活動がゴールとしている2030年に対し折り返しの年にあたりますが、「これまでの延長線では、2030年に100%に達する可能性のある目標は一つもなく、著しく軌道を外れている」というコメントになっています。

日本においても2023年の100%達成は極めて困難な課題ですが、とりわけ17項目のうち5つが赤い表示、すなわち最も低いレベルである「深刻な課題がある」と評価されています。これは昨年からひとつ減ってはいますが、今後にむけて大いに改善しなければならない点ということになります。この5項目の細目評価の詳細については明日ご紹介していきたいと思います。

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