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かんとこうブログ

2023.09.20

経産省確報の出荷数量と金額の推移から判る原材料価格動向

昨日に続き、経産省工業動態調査(確報)のデータをご紹介します。と言っても今日ご紹介するのは塗料価格ではなく塗料の原材料価格動向についてです。今日は少し趣向を変えて、単価の価格推移ではなく、出荷数量と出荷金額の推移を通じて原材料価格(単価)の推移を考えてみます。

起点はすべて2021年1月としてきましたので、今回も2021年1月を基点としてその後の出荷数量と出荷金額がどう変化していったのかをグラフで表示しています。まずは樹脂からみていきましょう。

ピンク色が金額、青色が数量で、金額は左軸、数量は右軸の数値を示しています。縦軸は両軸とも始点をゼロからにしてその後の推移を比較しやすくしています。グラフ中の数字は最新(2023年7月)の単価指数(2021年1月=100)です。

樹脂については、程度の差はあれ、いずれも時間の経過とともに数量と金額が乖離していっています。数量は横ばいまたは微減傾向、金額はメラミン樹脂とアルキド樹脂が上昇傾向、残りの樹脂が横ばいとなっています。これらの中ではメタクリル樹脂が最も乖離幅が小さくなっており、価格指数値も小さくなっています。

次は樹脂原料です。

これら樹脂原料は先ほどの樹脂とは異なり、例えばビスフェノールAなどは数量と金額が極めて同調的に推移しています。エピクロルヒドリンについても途中一時的に乖離しましたが、ここ最近は同調的に推移しています。逆にこの中ではアクリル酸エステルの数量と金額の乖離幅は最も大きくなっています。エチレングリコールは乖離幅はさほど大きくないのですが、数量が半減しており価格指数が大きくなっています。このように価格指数については、数量の変動がむしろ金額の変動よりも、より大きく影響を及ぼす場合もあります。

溶剤についてば、3つのグループに分けられます。一つ目はトルエンとキシレンのグループで非常に大きな金額の増加があり、動きとしてはナフサの価格推移に類似しています。二番目のグループはイソプロピルアルコールとエチレングリコールエチルエーテルのグループで、徐々に数量が減少、金額が上昇しています。最後のグループは、合成ブタノールとメチルイソブチルケトンのグループで比較的同調的に数量と金額が推移しています。しかしながらメチルイソブチルケトンでは、金額の変動幅が大きく、価格指数もかなり大きなものになっています。

最後は顔料のグループをご紹介します。

この中で数量と金額の乖離が徐々に大きくなっているのは、酸化第二鉄、酸化チタン、カーボンブラックで、いずれも主要な塗料原料であり心配されます。逆にアゾ顔料、フタロシアニンは数量と金額の推移が同調的であり、価格指数も比較的低めです。酸化亜鉛の動きは極めて特異的ですが、ひところ2021年1月の2倍ほどに達して金額も落ち着いてきていおり、価格指数も低めになっています。

今日はそれぞれの塗料原材料について、価格や価格指数ではなく、出荷数量と金額の推移を調べた結果をご紹介しました。単なる価格での情報よりは、数量と金額の両面からの方が情報量が多いような気がします。塗料原材料のWATCHはしばらく続けていきます。

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