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かんとこうブログ

2023.10.18

塗料原料は高止まり・・・経産省確報から計算した原料単価動向

昨日に続き、経産省工業動態調査(確報)のデータをご紹介します。と言っても今日ご紹介するのは塗料価格ではなく塗料の原材料価格動向についてです。先月に引き続き、単なる単価の推移ではなく、出荷数量と出荷金額の推移を通じて原材料価格(単価)の推移をご紹介することにします。

その前に全体傾向の把握のため、2021年1月=100とした時のそれぞれの原材料の2023年8月における単価指数を示します。全23品目の平均は144.6でした。この2年7カ月間で約1.5倍近くになっているということになります。

それでは、各原料の出荷数量と出荷金額の推移をご紹介していきます。起点はすべて2021年1月としています。2021年1月を基点としてその後の出荷数量と出荷金額がどう変化していったのかをグラフで表示しています。まずは樹脂からみていきましょう。

ピンク色が金額、青色が数量で、金額は左軸、数量は右軸の数値を示しています。縦軸は両軸とも始点をゼロからにしてその後の推移を比較しやすくしています。グラフ中の数字は最新(2023年7月)の単価指数(2021年1月=100)です。

樹脂については、程度の差はあれ、いずれも時間の経過とともに数量と金額が乖離していっています。数量は横ばいまたは微減傾向、金額はメラミン樹脂とアルキド樹脂が上昇傾向、残りの樹脂が横ばいとなっています。これらの中ではメタクリル樹脂の比較的乖離幅が小さくなっています。

次は樹脂原料です。

これら樹脂原料は先ほどの樹脂とは異なり、例えばビスフェノールAを典型として、数量と金額が極めて同調的に推移するものがあります。エピクロルヒドリンについても途中一時的に乖離しましたが、ここ最近は同調的に推移しています。逆にこの中ではアクリル酸エステルとスチレンモノマーの数量と金額の乖離幅が大きくなっています。エチレングリコールは乖離幅はさほど大きくないのですが、数量が半減しているため価格指数が大きくなっています。このように価格指数については、数量の変動がむしろ金額の変動よりも、より大きく影響を及ぼす場合もあります。

溶剤についてば、3つのグループに分けられます。一つ目はトルエンとキシレンのグループで非常に大きな金額の増加があり、動きとしてはナフサの価格推移に類似しています。二番目のグループはイソプロピルアルコールとエチレングリコールエチルエーテルのグループで、徐々に数量が減少、金額が上昇しています。最後のグループは、合成ブタノールとメチルイソブチルケトンのグループで比較的同調的に数量と金額が推移しています。しかしながらメチルイソブチルケトンでは、金額の変動幅が大きく、価格指数もかなり大きなものになっています。

最後は顔料のグループをご紹介します。

この中で数量と金額の乖離が徐々に大きくなっているのは、酸化第二鉄、酸化チタン、カーボンブラックで、いずれも主要な塗料原料であり心配されます。またアゾ顔料はここ最近は乖離が大きくなってきています。フタロシアニンは数量と金額の推移が同調的であり、価格指数も比較的低めです。酸化亜鉛の動きは極めて特異的ですが、ひところ2021年1月の2倍ほどに達して金額も落ち着いてきており、価格指数も低めになっています。

今日はそれぞれの塗料原材料について、価格や価格指数ではなく、出荷数量と金額の推移を調べた結果をご紹介しました。内容的には先月と変わらぬ傾向ですが、大きな動きは少なく高止まり傾向と言ってよいのではないかと思います。

これら23品目の価格指数の平均は144.6でした。これに比べると昨日ご紹介した主要塗料種別単価の指数は、シンナーで140程度、最も高いもので125程度ですので、まだまだ低いように思われます。

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