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かんとこうブログ

2023.10.24

EPSの優れた機能にせまる

最近、明治のヨーグルトのコマーシャルの中にEPSという単語がでてきて耳に残りました。調べてみると、なかなか優れもののようです。今日はこのEPSについて調べたことをご紹介します。

まずEPSについてですが、下図に示すように英語のexopolysaccharideの略であり、exo=菌体外、poly=高分子、saccharide=多糖類という意味で、乳酸菌が作り出す高分子多糖類のことを意味します。細かい説明は下図をお読みください。このEPSは高分子物質なので粘度は高くどろっとしています。ヨーグルトのとろみはこのEPSによるものだそうですが、この物質は様々な生物的な活性を持っています。ただし、EPSならどんなものでも良いのではなく、選ばれた乳酸菌OLL1073R-1株のEPSが特にこうした活性が高いと説明されています。以下明治のサイト(下記URL)を中心に引用しながら説明していきます。

https://www.meiji.co.jp/sustainability/newaction/plan-yogurt/ 

    

この乳酸菌1073R-1のEPSには大きくわけて3つの活性があります。最初の活性は免疫機能の強化です。以下説明を引用します。「乳酸菌1073R-1株が生み出すEPSは、人体内の「最前線で異物と戦う『自然免疫』」と「特定の異物に対抗する『獲得免疫』」の両方に働きかけて活性化する事が解明されました。

まず、自然免疫側では免疫システムの中で最前線で戦う樹状細胞やNK(ナチュラルキラー)細胞などを活性化させ、体内に侵入したウイルスや細菌を撃退します。次に、獲得免疫側では特定の細菌やウイルスを攻撃する抗体を作り出すB細胞やその働きを制御するT細胞を活性化することが確認されました。」(下図)

イメージ図

二つ目の働きは野菜に含まれるカロティンなどの抗酸化物質の体内吸収を助けることです。EPSを含むヨーグルトを食べることで、本来油溶性で体に吸収されにくいカロティン、リコピンなどの抗酸化物資の吸収率が格段に向上します。(下図)

図:無脂肪ヨーグルトと野菜を一緒に食べると、吸収率が高まる

3番目の活性は、腸間バリア機能の改善です。腸壁はタイトジャンクションという組織で中の物質が外にもれないようになっていますが、このタイトジャンクションが損傷した場合に修復を助け正常な組織への回復を助けます。

イメージ図:ヨーグルト乳酸菌による腸管バリア機能の改善

以上が主な3つの活性ですが、これ以外にも学術的に体の健康を支えてくれる働きが報告されていました。2例紹介します。(下図) 上の例は陸上競技の選手が摂取したところ、激しい運動後でもNK細胞の活性が低下せず、筋損傷の回復を促すアミノ酸の濃度低下も抑制できたと報告されています。

また下の例では、ヒトコロナウイルスの増殖が抑制され、感染予防に有用なインターフェロン-βの産生促進が示唆されたと報告されています。

どうやらこのOLL1073R-1株とそのEPSは、従来の乳酸菌の枠を超えたさまざまな活性が期待できるようです。なにやら明治のコマーシャルのようになってしまいましたが、できるだけ科学的に書いた結果がこうなりました。

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