かんとこうブログ
2023.11.22
溶剤アップ、顔料・樹脂ダウン・・9月の原材料価格確報の情報
11月15日に経産省の確報(工業動態調査)が発表になりました。この調査結果のうち塗料については毎月確報としてご紹介していますが、この確報は全ての工業製品が対象ですので、塗料の原材料も工業製品である以上調査結果が発表されています。今月も塗料の原材料についての確報数値から単価指数動向をお知らせします。
塗料の原材料として選定しているのは、樹脂原料5種類、樹脂6種類、顔料6種類、溶剤6種類の23種です。9月の数値は、原料の種類で大きく傾向が分かれたということです。単価指数(2021年1月=100)で見ると、前月から上昇,下降が以下のようになりました。樹脂は5品目中全部が下降、樹脂原料と溶剤はそれぞれ6品目中4品目が上昇、2品目が下降、顔料は6品目中5品目が下降、1品目が上昇と言う結果でした。こうして原料の種類ごとに傾向が分かれましたが、その理由はナフサ価格にありそうです。政府の補助金の関係で9月はガソリン価格が高騰しました。これを受けてか、有機溶剤は前月比で二桁上昇が目立ちました。一方樹脂はそうしたナフサ価格の上昇の影響が遅れて波及しているものと考えられます。それでは原料の種類ごとに出荷数量と出荷金額のグラフをお見せします。最初は樹脂原料からです。
この5種類はすべて前月から指数が下がりました。グラフの見方としては、出荷数量と出荷金額が時間ともに乖離しているかどうか(線が離れていっているか)という点が一番重要です。乖離幅の大きいものほど単価の上昇が激しいということになります。グラフ中の数字は9月の単価指数と( )内は前月比です。樹脂において9月時点の単価指数が比較的高いものとしては、石油樹脂、メラミン樹脂が挙げられます。
続いて樹脂原料です。
樹脂原料は樹脂に比べてナフサ価格の影響を迅速にうけます。6品目中4品目が前月比で上昇しましたが、溶剤に比べれば上昇幅はさどではありません。これらの中で9月の単価指数が比較的高いのはエチレングリコール、スチレンモノマー、アクリル酸エステルですが、エチレングリコールの場合、数量と金額の乖離もさることながら、数量の大幅な減少も高い単価指数の一因と思われます。
続いて溶剤です。
溶剤では、イソプロピルアルコール、エチレングリコールエーテル、キシレン、合成ブタノールが前月比で二桁上昇となりました。このうち合成ブタノールについては、数量の急激な減少も高単価指数の要因と思われます。トルエン、キシレンはこのブログで取り上げた23品目中最高の単価指数となっています。
最後に顔料です。
顔料では6品目中5品目で単価指数が下がりました。本来油を燃焼させて製造しているカーボンブラックについては、こうした情勢のもと、単価が先月より上昇しして然るべきですが、わずかに下がりました。顔料の単価指数は全般的に低めです。2021年以降の価格上昇が、基本的にエネルギー資源価格の上昇によるものであることを示しています。
最後に23品目の9月の単価指数を示します。高単価指数の品目としては、やはり石油由来材料が並んでいるようです。
8月に最も指数値の低かったブタノール(8月は101)は大きく単価指数が140まで上昇し、中位に位置しました。23品目の単純平均は前月から0.8ポイントあがりました。高止まりから再上昇の気配すらあります。