かんとこうブログ
2023.12.04
今年もポインセチアがならびました(ほぼ再掲)
先週から恵比寿駅東口からガーデンプレイスにむかうスカイウオークの窓際に今年もポインセチアが並びました。毎年恒例ですが、ガーデンプレイスのバカラの巨大シャンデリアとともに一挙に年の瀬モードになりました。昨年、3年前に引き続きことしもポインセチアの赤についてのご紹介をしたいと思います。赤い色の花と言えば、千変万化のアントシアニンの独擅場です。内容はほぼ過去の再掲ですが、少しだけ改訂していますので、どこか探しみてください。
恵比寿のガーデンプレイス前のポインセチア 2023年12月4日撮影 花は中央の小さな部分でまわりを大きく華やかな赤い苞が囲んでいる
ポインセチアはメキシコの山地原産のユーフォルビア・プルケリマ(Euphorbia pulcherrima)を改良してつくられました。原産国とされるメキシコ合衆国では、「ノーチェ・ブエナ」(もともとの意味は「素晴らしい夜」で」あるが、転じて「クリスマス・イヴ」も意味する)と呼ばれています。メキシコの伝説がアメリカ合衆国の初代メキシコ公使であったJ・R・ポインセットの知るところになり、アメリカに伝わった際に彼の名前がつけられました。日本には明治時代に伝えられ、和名はショウジョウボク(猩々木)と名付けられました。大酒飲みで赤い顔が特徴である伝説上の動物、猩々に似ていることから名付けられたといいます。
ポインセチアの赤い葉の部分は正式には”苞”(ほう)と呼ばれ、これは花の蕾を包んでいた葉が開花に伴い変化したものです。なぜ赤くなるかについては、花が小さくめだたないため虫による受粉がなされにくく、虫を引き寄せるために赤く鮮やかな色に変化したと考えられています。
しかしこのポインセチア、そのまま放っておいては赤くなりません。それはポインセチアが短日植物だからです。短日植物とは、よく日が短くなると花が咲くと書かれていますが、正しくは、「一定時間以上の暗期をもつ光周期を与えないと開花しない植物。イネ,トウモロコシ,ダイズ,コスモス,キク,アサガオなど秋に咲くものに多い。(コトバンク)」であり、一日のうち一定時間の暗闇が一定期間継続することが開花条件になります。ポインセチアの場合には、短日処理と言って、9月から11月にかけて夕方5時から翌朝8時ごろまで、段ボール箱などをかぶせて暗くしないと、花芽をつけさせることができません。この短日処理は、苞が完全に色づくまで処理を続ける必要があり、かつ寒さからポインセチアを守らなければならないので手間のかかる作業となります。
https://www.shuminoengei.jp/m-pc/a-page_p_detail/target_plant_code-276/target_tab-2
http://fchem.4rm.jp/log/edu/57.html
アントシアニンについては、すでに何回かご紹介していますが、下図のような構造をしており、アントシアニジン(アントシアニンの主要部分となる部位)に糖がグルコシド結合でつながった配糖体になっています。(図はウイキペディアより引用)
ポインセチアに含まれるアントシアニンの構造を分解して説明すれば、アントシアニジンはシアニジンとぺラルゴニジンの2種類、糖もグルコースとラムノースの2種類であり、そのそれぞれの組み合わせで4種類のアントシアニンが含まれているということになります。いずれにしても、やはり花の赤い色はアントシアニンの独擅場です。
最後にポインセチアの花言葉を日比谷花壇のサイトから引用してこの項を終わることにしましょう。
「赤いポインセチアには、「祝福する」「聖夜」「幸運を祈る」「私の心は燃えている」などの花言葉があります。クリスマスにぴったりの、胸の高鳴りや幸福感を表した花言葉だといえるでしょう。ただし、ポインセチアの花言葉は色によって異なります。ピンクのポインセチアは「思いやり」や「清純」、白のポインセチアは「慕われる人」「あなたの祝福を祈る」の花言葉を持ちます。
クリスマスを象徴する色はクリスマスカラー呼ばれ、赤、緑、白の3色または、それに金を加えて4色と言われています。(下図)サンタクロースの衣装とともに赤い色でクリスマスを華やかに演出するポインセチア、コロナ禍も明け一段と心浮き立たせるように感じます。
赤・緑・金・白のクリスマスカラーに込められた意味とは? - ウェザーニュース (weathernews.jp)