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かんとこうブログ

2023.12.05

ナノイーXについて

最近テレビのコマーシャルでナノという言葉がついた商品名を耳にします。パナソニックの「ナノイーX」やライオンの「NANOX」などです。もちろんこれらは「ナノ:10のマイナス9乗」に関係するようですが、それぞれの技術内容は大きく異なっているようです。「ナノ」と聞くと化学屋の血が騒ぎますので調べてみたところ、「ナノイーX」はなかなかの優れものだとわかりましたので、今日はナノイーXについてご紹介しようと思います。この手の記事について、あれは「ステマ:ステルス マーケティング」ではないかという人もいますが、もちろんどこからも一銭たりとももらっておりません。純粋に科学的興味でご紹介するものです。

まずナノイーXはどのようなものかというと電気製品の商品名ではなく、さまざまな製品に搭載された浮遊、あるいは付着している有害物質をすべからく分解してしまう「OHラジカル」を発生させるシステムの名称です。

OHラジカルとは水(H2O)から水素をひとつ失った状態のものであり化学式で書くと ・OHとなります。OHの前の点は電子が1個結合されずに存在していることを示しており、この結合していない電子の存在によって強力な酸化力を持っています。(下図)

どのくらい酸化力が強いかというと、非常に安定だとされる炭素と炭素の結合を断ち切るほどの酸化力があります。有害物質の多くは有機物でできていますが、その有機物の主骨格は炭素-炭素結合ですので、このOHラジカルによって分解されてしまうわけです。

このあたりのことをパナソニックは下図で説明しています。(下記URLより引用)

https://panasonic.jp/nanoe/ 

「ナノイーX」の「OHラジカル」は、通常の「OHラジカル」と異なるところがあります。それは水に包まれていることと非常に数が多く存在しうるということです。水に包まれた数多くの「OHラジカル」がより長時間安定に存在するため、室内に存在する様々な有害物をことごとく分解してしまうということなのです。水分は通常の1000倍、寿命は6倍になるそうです。

さらに「ナノイーX」から放出される「OHラジカル」を含んんだ粒子は、5~20nm(ナノメートル)と非常に細かいため繊維の奥まで入り込み、そこに潜む有害物を分解できると説明されています。(下図)

この「ナノイーX」から放出される水に包まれた「OHラジカル」の効能は以下のように多岐にわたります。

これらの効果については、いずれも外部機関での公的な評価結果が詳しく紹介されていますので、疑いの余地はありません。菌・ウイルス、カビ、花粉、アレルギー物質、においは有機物ですので、上でご紹介したようにOHラジカルの強力な酸化力で分解できることは直感的に理解できますが、最後の美肌・美髪は??となります。どういうメカニズムで肌や髪が美しくなると言っているのでしょうか?

パナソニックのサイトでは、保湿作用によってきめの整った美肌が形成されると紹介されています。(下図)冬の室内は暖房のより湿度が低下しやすく肌荒れの原因になりますが、この「ナノイーX」の備わった電気製品を使用すれば室内に水分を多量に含んだ粒子が放出されるため、皮膚からの水の蒸発を防ぎ美肌を整える効果が期待されるということのようです。

ところでこの「ナノイーX」ではどのようにして「OHラジカル」を作りだしているのでしょうか?一般的には、まずオゾンを発生させ、そのオゾンに過酸化水素水や紫外線を作用させて「OHラジカル」を生成させるようですが、「ナノイーX」では下図の生成装置を開発したようです。

まず「ペルチェ素子」でチタン製の「霧化電極」を冷やします(1の写真)。この「ペルチェ素子」は、電流による熱の移動現象を利用した冷却法で、ワインクーラーなどに利用されています。「霧化電極」が冷却されると空気中の水分が結露し電極の先端に水がたまります(2の写真)。この状態で「対向電極」から高電圧をかけて「OHラジカル」を発生させます(3の写真)。

このように説明すると簡単に開発できたように思われるかもしれませんが、この開発には20年以上の年月と多大な努力が費やされています。霧化電極には金属チタンがしようされていますが、このチタン製霧化電極の開発には福井県鯖江の眼鏡フレーム製造の技術が使用されているそうです。さらに生成する「OHラジカル」量を飛躍的に増大させるため、放電領域を点から線へ、線から面へと進化させ、生成するラジカルの量を飛躍的に増大させたそうです。(下図)

この「ナノイーX」ですが、現在ではパナソニックの多くの製品に搭載されています。搭載製品としては、エアコン、扇風機、加湿セラミックセーター、空気清浄機、衣類乾燥除湿器、加湿機、温水便座、洗濯乾燥機、布団暖め乾燥機、掃除機、冷蔵庫、食洗機、ヘアドライヤー、スチーマーナノケア、浴室乾燥機などが挙げられていました。これからの季節は、うっかり加湿器など使って押入れがカビだらけになった経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、「ナノイーX」搭載の加湿器であればそのようなことは起きないことでしょう。

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