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かんとこうブログ

2024.01.26

短期集中連載 インドネシアという国 その2

昨日の続きです。昨日は主に経済的な側面からご紹介しました。今日ご紹介するのは以下の項目です。

最初は貿易についてです。インドネシアの貿易相手はどこが多いのでしょうか?昨日に引き続き「世界経済のネタ帳」から引用して示します。

輸出も輸入もトップ3は同じ国、同じ順番です。1位中国、2位アメリカ、3位日本です。アセアン域内の貿易が多そうな印象を受けますが実はそうでもありません。上位3か国で、輸出の1/3以上、輸入の半分近くを占めています。塗料の原料についても、意外にアセアン域内で手に入る原料は少なく、中国や欧米から輸入するケースが多くなっています。

輸出品目は鉱物燃料(石油)、動植物油脂(パーム油を含む)、電気機械、ゴム、機械/部品といった天然資源が中心で、輸入品目は、鉱物燃料、ボイラー、機械/部品、電気機械、鉄鋼、食品といった工業製品が多くなっています。しかし、どちらにも鉱物燃料が入っていますが、これはどういうことなのでしょうか?インドネシアでは、比較的良質の原油が産出するのですがこれを輸出して外貨を稼ぎ、あまり質の良くない原油を輸入して自国内の消費に回していると聞きました。なんだか寂しい気もしますがインドネシアの人たちにとっては、「Tidak apa apa:なんてことないよ」なのでしょう。

対日本の貿易はどんな品目なのでしょうか?

日本との貿易について、左図が日本⇔インドネシアの貿易額の推移ですが、常に日本の輸入超過になっています。2021年で輸入が196億ドル(2兆円超)、輸出が134億ドル(2兆円弱)となっています。品目では(インドネシアからの)輸入では非食料原料、鉱物性燃料(石油)、機械類および輸送用機器、などが主要品目、輸出では機械類および輸送用機器類、原料別製品、化学製品となっています。

原料別製品とは耳慣れない言葉ですが、貿易統計で分類の用語であり、具体的には鉄鋼、非鉄金属、金属製品、織物用糸・繊維製品、非金属鉱物製品、ゴム製品、紙類・紙製品など他の分類(食糧品、鉱物性燃料、化学製品、一般機械、電気機械、輸送用機械)に含まれない製品全般が該当します。また輸送用機器とは主に自動車を指します。機械類及び輸送機器は、輸出と輸入の両方に入っていますが、自動車部品などでインドネシアで作り日本へ送るケースがあるようです。

非常におおざっぱに言えば、日本からは製品を輸出し、インドネシアからは資源を輸入していると考えてよいと思われます。ところでインドネシアで聞いた話ですが、日本の「こたつ」は全てインドネシアで作られて日本へ輸出されているとのことでした。木材が豊富なインドネシアではさまざまな木工製品が作られて日本へも輸出されており、その分日本の木工産業が縮小しているとも言えます。

ここで話はガラッと変わりインドネシアの人種の話になります。インドネシアの人種構成は極めて多岐にわたり、複雑な社会構造をしています。

最初日本人から見るとインドネシア人はみな同じように見えるのですが、しばらくするといろいろな人種があることに気が付くようになります。インドネシアに住む人種は300種類とも400種類とも言われており、文化や習慣、宗教もそれぞれに微妙に異なっています。私がいた会社のインドネシア人のトップは、こうした人種の違いをよく記憶しており、従業員の人となりを語る際に「彼は何人種だから、こういう性格だ」と説明してくれました。そんな単純なものではないと思う反面、かなりの確率で当たる場合もあり、ちょうど日本でいう出身地の都道府県別の人柄イメージと同じようなものかと思いました。ここで申し上げたいことは、とにかくインドネシアは多くの人種から構成されており、結構複雑な社会構造が存在しているということです。大統領選挙になるとこのことが明らかになります。単純な保守革新とか、思想信条では決まらない多重の社会構造が選挙予想を複雑なものにしているようです。

ところでインドネシア政府の年間予算はどのくらいでしょうか?

2023年の歳入は約30兆円、歳出が35兆円で歳出超過でした。日本円換算では日本の政府予算の1/3程度、人口は日本の2.25倍ありますので、一人あたりに換算すると日本の約1/7となります。一人あたりGDPもおおよそ日本:インドネシア=7:1の関係にありますので、GDPと政府予算の比率がほぼ同じということになります。

さて本日最後にご紹介するのは、世界最大のイスラム教徒人口という事項です。国民の80%がイスラム教徒と言われていますので、2億人以上のイスラム教徒がいることになります。ただし、穏健なイスラム教徒であり、街を歩いている女性もヒジャブ(頭部のかぶりもの)着用を強要されることはありません。着用している女性も、宗教上の理由だけでなく、ファッションの一部として楽しんでいるようにも見えます。お酒についても、レストランでお酒を飲めるところも多く、スーパーマーケットでもビールやワインは購入することができました。それよりもアルコール濃度が高いものはさすがにあからさまには売っていませんでしたが、店の奥のカーテンの引かれた棚には商品がありました。

ただし、この国がイスラム教の国だといやでも意識させられる時があります。それは街になりひびくアザーンと呼ばれるお祈り奨励する呼びかけです。毎日決まった時間に流れるこの呼びかけは、確実にここがイスラム教の国であることを思い起こさせます。また、金曜日の昼に行われる集団礼拝も決しておろそかにしてはならない習慣であるため、その時間に食い込む可能性のあるミーティングが設定できませんでした。イスラム教と言えば断食を思い起こす方も多いと思います。かなり誤解の多いこの聖なる行事については、また日を改めてご紹介することにします。

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