かんとこうブログ
2024.02.19
単価の上昇はまだ止まりません・・経産省12月度確報
先週金曜日に日塗工から経産省確報12月度を受領しました。すでに組合員の皆様にはFAXで送付しておりますが、例月のように塗料種別の単価動向を中心にご紹介していきます。
12月度ですが、年間消費動向から言えば、10月のピークから1月のボトム向けて下降する途中にあり、例年11月に比べると数量・金額とも減少する時期にあたります。今年も全体としては例年の如く変動してるいるのですが、2023年度は、ここ6年間の実績において数量は最下位グループ、金額は最上位という位置をとり続けています。(下図)
一言で評すれば、2023年の数量はコロナ禍前に戻っていないけれど、原料高騰からやむなく値上をさせていただいているので金額ではコロナ禍前をやや7上回る水準に戻った状態と言えます。
その単価ですが、原料高騰が顕著となった2021年以降の塗料種別の単価指数は以下のようになっています。図中の数字は2021年1月を100とした時の2023年12月の単価指数です。
単価の上昇率が最も高いのはシンナーであり、塗料種としてはアミノアルキド樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料あたりが最も上昇率の大きい塗料になっています。シンナーについては、一方では2023年に限ればほぼ横ばいにあるようにも見えます。以下に示すように原油及び石油製品の価格動向で見れば2023年はピークから見れば価格は下がっているので、もっと塗料もそろそろ下がってきてもおかしくないとも考えられます。
そこでこの1年間の単価動向をよりはっきりと把握するため、各種塗料の2023年1年間だけのグラフを描いてみました。
少し意外に感じるかもしれませんが、上段の溶剤系塗料はいずれも価格が上昇傾向です。また溶剤系以外の塗料もどちらかと言えば上昇傾向にあり、わずかにシンナーだけが下降気味というところではないでしょうか?
まだ塗料の単価は上昇が続いているとすれば、それにはどのような理由があるのでしょうか?考えられることは二つです。ひとつは原油および石油製品に比べて塗料の価格上昇割合がまだまだ低い水準であるということです。もうひとつは、塗料原料の価格上昇にはタイムラグがあるということです。合成樹脂などは原油価格の値上がりの影響を受けるものの、石油製品ほど連動して素早く上がることはありません。すなわちまだ価格を転嫁しきれていない部分が生産・流通過程に残っており、それがじわじわと波及して塗料価格に浸透しているのではないかと考えられます。この説の真偽はともかく、まだ価格が下がる傾向にはないというのが現時点での見方になると思います。
2021年1月からどの塗料の価格がどれだけ上昇したか、下表・下図でご参照ください。
指数の上昇幅の大きいものは上で述べた通りですが、単価金額の上昇幅の大きいものとしては、アミノアルキド樹脂塗料、粉体塗料、(その他塗料)、エポキシ樹脂塗料、(溶剤系塗料)、ウレタン樹脂塗料の順となっています。