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かんとこうブログ

2024.04.03

桜の開花予想が外れた理由をさらに追及してみましたが

今年の東京の桜の開花日は3月29日でした。昨年と比べると15日も遅く、平年よりも5日も遅い開花日でした。これだけ遅くなった理由については、3月19日のブログで、休眠打破が遅れたためではないかと書きましたが、開花日が確定しましたので、さらに理由を追及してみました。

具体的には、3月29日を開花日として、①~④の方法で休眠打破の日を逆算してみました。念のため本欄でご紹介している四つの方法と実際の気温から計算した開花日(休眠打破の日(起算日))と従来の仮定(①②④は2月1日、②は2月4日)及び実際の開花日との誤差を下に示します。(気温のデータは気象庁のサイトより、ソメイヨシノの標本木のある靖国神社に最も近い観測点である東京大手町のデータを使用しました)

3月29日を開花日として逆算した起算日は以下のようになりました。計算結果ともに表で示します。

結果は実に驚くべきものでした。これら4つの式があくまで正しいとして計算すると起算日は①③④の式を使えば2月15日、②の式を使うと2月19日となりました。すなわち、従来起算日としていた日から①③④の式では14日、②の式では15日も起算日(休眠打破の日)が遅かったということになります。少なくとも昨シーズンまでは、この起算日で①~④の式を使用すればかなりの精度で予想が的中していたのに、今シーズンは10日~13日も外してしまったわけです。

確かに3月19日に書きましたように、今季の冬は暖冬で、特に12月~2月までは暖かい日が続いたことは間違いありません。改めて下図に開花日までの日毎平均気温とその平年値を示します。

赤い矢印は従来計算に使用していた起算日です。12月1月の平均気温を見る限り平年値を下回る日はほとんどありませんでした。しかし、これだけでは今年の休眠打破が著しく遅れたであろう理由の説明は充分ではありません。

そこで、今年を含む直近5シーズン分の12月1日から2月1日までの毎日の平均気温のデータをグラフ化しました。

黒い点線が今シーズン、すなわち2023年12月1日~2024年2月1日までの日毎平均気温です。確かに12月中の気温は,直近5年の中で今シーズンが最も高そうですが、1月では間違いなく昨シーズン(昨年:赤線)の方が高いことがわかります。また昨シーズン以外の年は今シーズンに比べると気温が低かったようだとわかりました。

各シーズンの12月1日から2月1日までの平均気温の累計をその平均値、および開花日について一覧表にしてみました。

グラフから読み取れるように、12月1日から2月1日までの気温が最も高かったのは昨シーズンであり、次が今シーズンでした。逆に最も低かったのは2年前のシーズンでした。これらを開花日を比べると、残念なことに何ら関連性を見出せないことに気がつきました。最も気温が低く本来休眠打破が早いはずの2年前のシーズンでは開花が遅く、最も気温が高く休眠打破が遅かったはずの昨シーズンでは最も早い開花日(同日タイ)でした。つまり12月と1月の気温だけからでは、今年の開花日が遅かった理由は皆目わからないということです。

もう少し調べてみればとも思いますが、現時点で考えられる今年の開花が遅れた理由としては以下のようなことが考えられるのではないかと思います。

a)休眠打破の時期を決定するのは前年の夏以降のもっと長い期間全体であり、直前の2カ月間だけではない。     b)今年の3月のように開花時期目前で低温が続くと開花に深刻な影響を及ぼす(開花式に従わない挙動となる)

素人の私の頭ではこのようなことしか考えつきませんでしたが、例年よりも開花が遅れたことが、より遅くまで美しい桜の風景を楽しめそうです。また桜吹雪の入学式を迎える方も多くなるのではないかと思います。それにしても「世の中にたえて桜のなかりせば 春のこころはのどけからまし」です。

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